前回の銀次争奪戦から早一週間。

蛮は実はあの時銀次を花月に取られたことにかなりの悔しさを覚えていた。

(銀次は俺のなのにみすみすあの糸巻きと二人で食事にいかせるはめになるなんて・・・)

(何とかしてあの銀次に群がるお邪魔虫どもを蹴散らせないものか・・・)

(ん?まてよ?銀次のやつもこの俺様に惚れてるんだよな・・・?)
(じゃそれをあのお邪魔虫どもにみせつければ・・・)

(ふふふ・・・待ってろよ銀次・・・・)

不敵に笑う蛮の頭にはいつもの悪魔のツノがゆれていた・・・。

 

その日例によってGBの二人と士度、花月、卑弥呼、ヘブンといういつものメンバーは

ホンキートンクに各々の理由で集まっていた。

士度と花月は銀次の身を案じて、その他は暇つぶしというものだったが、

この状況は蛮が待っていた絶好のチャンスだった。

そこへ・・・

「こんにちは、銀次クンv」

「ぎゃ〜!!!」

銀次は驚いて叫びながら蛮にしがみついた。

「何の用だ、ジャッカル」

「おや、いきなり随分な歓迎ですね。

銀次クン、今日は私いいものを見せに参りました。

ほら、お土産だって持ってきたんです。あなたの大好きなチョコレートですよ」

「わあ、ちょこれいとだ。うれしいな・・・。

で!い、い、い、いいものってな・なんでしょう?」

「ほらこれ。手袋を見てください」

「な、ナンですか?余り変わりが無いのでは???」

「これ、じつは絶対に電気を通さない素材の手袋に作り変えたので

いくら銀次クンに触って電撃を出されたって・・・」

「てめぇ・・・銀次に何かしやがったらぜってぇ許さねぇ!」

「おやおや・・・元気ですねぇ」

ピリピリ張り詰めた空気が店内を駆け巡る。

二人が睨み合う横で誰もしゃべれずに居た。

「ちょ・・・ちょおっと待った〜!」

そこで何とか勇気を振り絞って銀次が二人の間に割って入る。

「銀次・・・」

「お、落ち着くのです二人とも。

今日は仲良くほら、コーヒーでもいかがですか?」

「しょうがないですね・・・銀次クンがそういうなら・・・」

そう言ってジャッカルは大人しくカウンターに腰掛けた。

銀次の努力によって何とか店が守られたことに店主の波児は密かに胸を撫で下ろす。

「ね、蛮ちゃんも座ってv」

何の迷いも無く差し出された銀次の隣の椅子に蛮は少し優越感を感じながらそこへ腰掛けた。

そしてふ、とあることを思い出した。

(あ・・・!忘れてた。今日はあの計画を実行するには最高の演出じゃねぇか・・・)

(ジャッカルにも見せ付けてやれるしな・・・しめしめ)

そして蛮は作戦実行へと行動をはじめた。

 

「それでね、その時さぁ・・・」

「ぎ〜んじ?」

「え゛・・・どうしたの、蛮ちゃん?」

夏美とのおしゃべりに夢中になっている銀次に蛮はいつになく甘い声で囁いた。

めったに聞くことの無い蛮の低く甘い声に銀次は少し戸惑って、

しかしぎこちない笑顔をつくった。

「お前さぁ・・・俺のこと好きか?」

「ど!どうしたんですか蛮ちゃん!熱でも・・・」

どこか様子のおかしい蛮を心配して銀次は蛮の額に手を当てようとする。

しかしその手は蛮によって握られてしまい、そのまま蛮の両手に収まった。

「蛮ちゃ・・・」

「真面目に聞けよ・・・俺は本気だぞ?」

「う、うん。好きだよ?」

「誰よりも?」

「だ、だれより?」

「そう、誰よりも」

「そういうのは・・・決められないよ。でも・・・」

「でも?」

蛮が両手でてを包み込みながら下から顔を覗き込んでとても綺麗な顔でじっと銀次を見る。

余りのかっこよさに銀次は顔を真っ赤にして蛮の問いに何とか答える。

「蛮ちゃんは・・・」

「うん」

「好きって言うか・・・一番大切・・・かな?」

「大切?」

「ダメかな・・・?こういうの」

「ダメなわけねぇだろ?すごく嬉しいぜ、銀次」

「蛮ちゃん・・・」

突然始まった二人のいちゃいちゃに、口を挟めるものなんていなかった。

むしろ口をあいたまま声を出すことが出来なかった。

そんなギャラリーはよそに二人のラブラブな会話は続く。

「でもな・・・俺はお前が・・・」

「蛮ちゃん?」

よし、ここでキメだ。

蛮は端正な顔を更に引き締めて最高にかっこいいと思われる顔を作った。

そして息を吸い込んで・・・

「愛・・・・」

「ストーーーっプ!!!」

「カズっちゃん、いきなりどうしたの?」

「銀次さん、そこの角においしいトンカツ屋ができて・・・」

「だ〜!!!邪魔すんな糸使い!」

「そうだよ、いま蛮ちゃんが大事なお話してるんだからちょっとだけ待って?」

珍しく銀次が反抗するので花月はつい驚いて一歩引いてしまった。

銀次の経験上こんなに真面目に蛮が自分に対する想いを打ち明けてくれることはめったに無い。

だからこそこの時をのがしたくなかったのだ。

蛮はそんな銀次にまた優越感を覚えつつ、ゴホンとひとつ咳払いをしてさっきの顔を作った。

「いいか銀次、俺はな・・・お前が」

「うんうんっ!」

「いいかげんにしやがれ!変態め!」

「何で邪魔するんだ猿!!!」

「そうだよ!ちょっとだけだから!」

「ぎ・・・銀次!」

「さぁ早く蛮ちゃん!」

「よぉしまかせとけ!いくぞ!」

「うんっ!」

「あい・・・」

「そこまでです、美堂クン」

「邪魔しないで下さい赤屍さん!」

「・・・」

「蛮ちゃんはやく!」

「よ、よし。銀次、俺はお前をこの世で一番・・・」

「ちょっといいかげんにしなさいよ蛮!みっともない!」

「うるせー!卑弥呼は黙ってろ!」

「ばんちゃぁん・・・」

「銀次、俺は誰よりもお前を、愛し・・・」

「やめなさい!美堂君」

「これ以上銀次に余計なこと吹き込みやがったら承知しねぇぞ!」

「やめないのなら実力行使といきますか・・・クス」

「フ・・・ふははは!望むところだ!どっからでもかかってきやがれ!」

「やめなさい4人とも!こんなトコで闘りあってどうすんのよ!」

「うるせー!貧乳のガキはだまってろ!」

「なんですって〜!!!!」

ついに切れた蛮を中心にとうとう戦いが始まってしまった。

「あわわ・・・俺の店が・・・!」

「マスター!止めてください!このままじゃ・・・!」

「止められるはずないだろ・・・ん?」

 

ぐ〜・・・・・・・

 

「銀次・・・何故いきなり寝るかな・・・?

ん?そういえばさっきジャッカルが・・・」

「そうですよマスター!あのチョコレートに何か仕掛けが・・・!」

「とにかくだ、これはいい材料だ・・・よし」

 

「み〜なさん!はい、注目ぅ!」

「「「「「あ゛?!」」」」」

戦いでボロボロになった5人が見たものは、波児のひざの上で気持ちよさそうに眠る銀次の姿だった。

「なにやってんだてめぇ!!!」

「はい静かにね〜銀次が起きちゃうでしょ?そんなことしたらかわいそうじゃない?士度くん」

「ぐ・・・」

「この店でこれ以上戦うのをやめてくれれば銀次を返してやるから、大人しくするんだな」

「わかった・・・やめるから返してくれ」

「オヤ、そういワケにもいきませんよ。なにしろチョコを持って来たのは

私なんですからね・・・」

「てめぇ、仕掛けてやがったのか。許さ・・・」

「しぃ〜!銀ちゃんが起きちゃいますよ。」

「じゃあ僕が預かって・・・」

「お前はダメだ。俺が預かる」

「なんだぁ?俺が相棒なんだから俺が預かるのが普通だろ?」

「クス・・・そんなこと許せるはずないでしょう?」

「なんだと・・?」

「はい、そこまで〜!あんたたちねぇ、銀ちゃんが起きちゃうから静かにしなさいって!

ここは公平に銀ちゃんに決めてもらいなさい」

今まで黙って見ていたヘブンが何故かその場を仕切ってそう言った。

その発言に4人は銀次を振り返る。

白い肌。

閉じられた長いまつげ。

小さな吐息。

あいた口から見える赤い舌。

その全てが・・・欲しい。

ゴクリ・・・。

「さて・・・どうやって銀次に決めさせるんだよ?」

「やはりここは僕が預かるということで・・・」

「俺が預かる!」

「私のみが預かる権利はあるはずですが?」

「なんでそうなる!」

 

 

 

「ばんちゃん・・・」

 

喧騒の中の小さな声が店内の誰の耳にも届いた。

独特の、銀次の声が蛮を呼ぶ。

「銀次・・・」

こうなってしまってはどうしようもない。

他の3人の恨めしい視線を受けながら蛮は銀次を抱きかかえた。

「悪いな、オヒメサマのご指名だからよ」

蛮は俗に言うお姫様抱っこをしながら、満足そうに店を出て行った。

「やれやれ・・・」

「それにしてもわかりやすいな、あいつ」

「にやけちゃってさぁ・・・だらしないったらありゃしない!!!」

「やきもちですかレディ・ポイズン?」

「違うわよ!!!」

 

何はともあれ店が無事でよかった。

まだ騒ぐ一同を横目に波児は一安心すると同時に今後も起きるであろう銀次をめぐる大決戦に

未来への一抹の不安を感じのであった。

一方蛮はというと。

今日の作戦の大成功に一人ほくそえみ、

さっき言えなかった一言を眠る銀次を抱きしめて耳元へ囁いた。

 

「誰よりもお前を愛してるぜ・・・銀次」

 

本日の勝利者・・・蛮&波児

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コメント>

え〜・・・

調子にのってシリーズ化してしまいました。

「本日の勝利者シリーズ」

とでも呼びましょう。

でもさっき本日の勝利者が「本日の修理者」になってしまって・・・。

おもしろくもなんともないんですが・・・。

今回はたまには蛮にいい夢みせてやろうかと・・・。

勝利者にしてほしい人物のリク、まってます。

できるかどうかは・・・保障しかねますが・・・。

また(逃)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送