愛唄

 

 

〜と書いて『ラブ・レター』と読む〜

 

 

 

 

 

 

宝児へ

 

 

 

よぉ、元気か?

お前に手紙を書くなんて、初めてだから少し照れくさいな。

まぁ、たまにはいつも衛星電話だからこういうのもいいだろ?

 

宝児、今何をしているんだ?

怪我はしてないか?

また無理をしてるんじゃないだろうな?

お前は結構頑固で、俺の言うことなんか聞かないことだってわかるけど

心配する方の身にもなってくれ。

まぁ、お前は人に好かれることはあっても嫌われることは無いから

きっとそっちでもうまくやっているだろう。

一応、心配はしないでおくさ。

 

俺の方はと言えば

お前は馬鹿だと笑うかもしれないが

俺はお前と離れて1ヶ月、お前を毎日のように思い出すよ。

朝起きて隣のベッドにお前が居ないことが未だに慣れない。

おかしいだろ?

自分のジュースを買った後、つい甘い甘いジュースを買ったりする、

そんな習慣が、今は凄く寂しい。

朝の挨拶と、夜の挨拶をしないと必ず怒ったお前に

今でも朝は「オハヨウ」

夜は「オヤスミ」

その地球語は忘れず、お前に届くよう毎日呟いているよ。

ちゃんと、聞こえてるか?

 

本音を言うと、お前と一緒の職場になれなかったことが今でも悔やまれる。

きっとお前と俺は専攻も何もかもが一緒だったから離れたんだろうって

前二人で話したことがあったな。

いや、俺はなんとしてもお前の元へ行こうとは思っているんだが。

なんなら、俺は今からでも自分の専攻を変えてもう一度学習したっていいと思っている。

お前をあそこまで甘やかせるのは俺くらいだからな。

お前の傍にはきっと俺が必要なんだ。

いや、すまない。

今のは冗談だよ。

手紙を読んでいるお前のふくれっ面が目に浮かぶようだ。

そんなに怒るな、綺麗な顔が台無しだぞ。

正直に言おう。

俺に、お前が必要なんだ。

わかるか?

俺がこんなにも心を許せるのは、お前だけなんだ。

普段は言えないけど、手紙だから言えるのかもしれない。

本当に照れくさいが、こんなことを言う機会もないだろうから言っておく。

・・・すぐに忘れてくれ。

ま、お前の記憶力じゃ無理だろうがな。

また今度会ったときにお前はきっと俺をからかうんだろう。

その時を考えると、知らずに顔が緩んでくる。

早く、会いたいよ。

お前の声は、電話で聞くと違うヤツの声みたいだ。

衛星電話のTV電話だって、お前の顔をちゃんと映し出さない。

俺はこの目で、お前が見たいんだ。

お前の少し釣りあがった目を見ながら

癖のある声をこの体で感じたい。

馬鹿だと思うか?

もしかして、不快な思いをさせてしまったか?

でも、これが正直な気持ちなんだ。

わかって欲しい。

お前に、全てを知って欲しいんだ。

たった一人のかけがえのない親友として。

お前のような素晴らしい親友を持てて、本当に幸運だと思っている。

 

だが

ひとつだけ、親友がお前だということで

酷く悔しく思うことがある。

それはお前には言えないけれど。

すまない、これだけはどうしても言えないんだ。

いや・・・

今度会ったときに話そう。

ずっと心に秘めていた秘密を。

俺は、みっともない気持ちを

お前に知られるのが怖くてずっと隠していたんだ。

だけど

お前と離れてみて、

失ってみて、

やっとわかったんだ。

伝えないといけないってことを。

俺は臆病者だ。

お前が俺をよく褒めるけれど、それはお前の思い違いなんだよ。

ずっと、みっともない自分をお前に見られるのが怖かったんだ。

クールぶっていても、本当の俺は弱くて仕方の無い男だ。

それを打ち破るためにも、俺はお前に全て伝えようと思う。

軽蔑されてもいい。

どんなに嫌われても・・・・

いや、お前に嫌われるのは他の誰かに嫌われるのよりよっぽど辛いんだがな。

でも、それでも

きっと伝えようと思っている。

だから、もう少しだけ待っていて欲しい。

この大きな仕事を終えたら、

無理やりでも有給休暇を剥ぎ取ってお前に会いに地球署へ行くさ。

俺に会うのが嬉しくてはしゃぐお前の姿を、今から思い浮かべるだけで楽しいんだ。

 

お前との友情の証のブレス、今でも大事にはめている。

几帳面なお前のことだから、きっとお前の手首にもブレスがあるはずだろうけど。

これは、俺とお前を繋ぐ大事な絆の代わりだ。

変なことを言うが、

これを手放すときは

きっと俺の命が終わるときだ、そんな予感がする。

こんなこと言うとお前は怒るだろうけど

そのくらいの覚悟でこのブレスを俺が身に着けてるってこと、忘れるな。

でも、お前は俺より長生きしなきゃならない。

なんでかって?

俺はお前が死ぬとこなんて見たくないんだよ。

わがままだって、笑ってもいい。

でも、俺はお前の居ない世界なんて

生きていく自信が無いんだよ。

きっと、無事で居てくれ。

何があっても、生きてくれ。

お前の存在が、俺を生かしているって、そういうこと忘れるなよ。

俺のことを少しでも大事に思うんなら

きっと、生きてくれ。

お前に会えるのを、心から楽しみにしている。

そんな男がいるんだって、ずっと忘れなければいいさ。

 

じゃあ、長くなってしまったな。

元気で。

また、手紙書くよ。

忙しいだろうが気が向いたら返事をくれよな。

 

最後になったが、この言葉を送ろう。

『――――――――』

ビリーザ星の言葉だ。

お前には読めないだろうから

前にも書いたお前に秘密にしていたことをちゃんと伝えることができたら

きっと、教えようと思う。

それまで本当に元気で。

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーノ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

少し趣向を変えてみたんですけど・・。

こういうのもいいかなって。

ほんとはこの後

 

その手紙を握り締めて

声を出さずに泣く君の

背中を抱きしめられたらどんなにいいか。

 

というセン様の台詞を考えてたんですけど入れないほうが雰囲気が出るかなと・・・(出てねぇ)

宝児からの返事も書くつもりです。

もう、つまんなくてほんとごめんなさい。

 

 

ちなみに、『――――――』というビリーザ星の言葉は

お気づきかと思いますが

実は『アイシテル』という意味です。

 

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