ばかっぷるの日常

 

 

 

「なぁ、俺・・・今悩んでるんだけど」

「あ、わかった。もう30過ぎなのに未だに彼女も出来ないこと?」

「そうそう、俺ってこんなに優しいのにどうして・・って違う!」

スナックびばのんでいつものように変な会話を繰り広げているおなじみのムトウとヨシノの二人に、

マスターは例によっていつものように踊りながらたずねた。

「どーしちゃったんだーいムトウちゃーん!辛気臭い顔しちゃってさぁ〜!」

「・・・・あぁ、マスター・・・・・俺、俺さ・・」

「ああ、またススムのことかーい?」

「なっ、どうしてわかったんだ!」

「図星かよ―――――――――!」

そう叫んでくるくると回っているマスターを尻目に、ムトウは悩みを話し出した。

「俺さぁ、ススムのことを思うと・・最近どうも変なんだ。

ススムが俺に微笑みかけただけで、まるで少女のように胸が高鳴る・・・。

ススムのことを考えると、夜も眠れないんだ・・。

これは、一体・・・・」

「それはですね、ムトウさん!

ずばり心臓病ですよ!!!病院に行った方が・・」

「ってそれを言うなら恋だろうが―――!!!」

と、自分で言ってからハタと気付く。

そして口元を押さえたムトウは、ため息混じりに呟いた。

「俺って・・・ススムに恋をしていたのか・・・・」

「え―――――!!!・・・・・・やっぱりね」

「お前驚くのか納得するのかどっちかにしろよな、ヨシノ」

「まぁそれは前からうすうす気づいてたけどさぁ、ムトウくん〜。

でもさすがにまずいんじゃない?

だってあの可愛さでもやっぱりススムは立派な男なわけだし。

まぁ俺だって前にコントの芝居で生足を見ちゃったときは

うっかり興奮して芝居だなんてことを忘れて襲い掛かりそうになっちゃったけどさぁ」

「ま、マスター?あんた奥さんいるくせに・・・」

「ま、それとこれとは別だ。

この前なんかあいつの飲むお茶に睡眠薬を入れて

寝てる間にどうにかこうにかしちゃおうかと思ったのに

残念ながらムトウくんが飲んじゃったから」

「あの時の急激な眠気はそれだったのかー!!!」

がくり、そう言う感じで頭を垂れるムトウをよそに、

今度はヨシノが語りだす。

「そうですよねぇ、僕も何度襲いかけたことか。

頭をにっこりの笑顔でナデナデされるたび

そのまま押し倒そうかとするのに

いっつもムトウさんが邪魔をするんですよねぇ。

頭にきて一度ムトウさんの飲むドリンクバーのアイスコーヒーにしびれ薬を入れちゃったことがありましたぁ〜あはは」

「あの時の急激なしびれはそれだったのかー!!!」

「とにかく、ススムを好きだというんなら俺たちを倒してからいけー」

「えー何このむちゃくちゃな展開!しかもマスターすでに真剣構えてるし!」

「いくぞー、どりゃぁ」

「わわわ、ちょ、ちょっと・・俺に素手で戦えってか?!!」

「甘いなぁムトウくん、前に素手で戦える方法教えてじゃないか〜。真剣白刃取りを!」

「馬鹿かあんた!あんたが教えた白刃取りは刃を掴んだらそのまま頭にこつん、とかいうのだっ・・うわぁ!」

そこでムトウが急に大声を出す羽目になったのは

横から振りかざされた鋭い切っ先が頬を掠めたため。

「な、な、な・・・」

「ムトウさん、俺も久しぶりに殺陣やりたーい〜vvv」

「てめぇハートマークつきで言ってるわりには刃先に全然迷いがねぇよ!ぎゃー!」

「「死ね!!!!!!」」

「なっ、なんで〜」

ムトウがワケもわからず目を瞑ったその時だった。

「あれ、なんだよ〜皆。俺を差し置いて楽しそうじゃんか〜」

「す、ススム〜!」

カランコロン、とびばのんの扉についている鈴を鳴らしてススムが入ってきたのだ。

まるで救世主、っていうか女神!

刃が飛び交う間を潜り抜け、ムトウはまるで海岸を駆け抜ける乙女のようにススムに向かって駆けていく。

「ススム〜!」

そして、ムトウの指先がススムに届く寸前、それは誰かによって振り払われた。

「触らないでくれるう?」

ほぼ白目の状態で睨まれて、ムトウは思わずひ、と小さい声を漏らした。

そう、ムトウの手を振り払ったのはなんとカトウ。

「やーん、もう・・カトウくんったら、ヤキモチやきさん」

「・・・え?」

「オーイエー、もちろんさベイベー。

君に触れるものは、どんなものでも許・さ・な・い」

口元で一指し指を立ててそれをち、ち、ち、と横に揺らす仕草に

ススムは胸元で両手を組み、まるで乙女のようにうっとりとした。

「もう、超かっこいいよカトウくん!」

「ああ、それはどうも・・なりがとう〜」

「・・・あの〜・・・」

片手を膝に、もう片方を後ろで高くあげる例のポーズを取るカトウくんに

ススムも、必死にその同じポーズをした。

「この格好、まるで・・・ハートマークみたい・・」

「そうだね、ススム。

二人が一緒じゃなきゃハートマークにならないんだ」

「あのう・・」

「カトウくん・・・・・」

「ススム・・・」

「おい、ススムってば・・・」

どうやらススムはじーんとして、ムトウの声など耳に入っていないようだった。

仕方なく、ムトウはススムの耳の傍で大声で名を呼んだ。

すると、ようやくススムはムトウの存在に気付いたらしく、

何食わぬ顔で「あ、ムトウさん」と言う。

「あ、ムトウさん・・じゃねーよ!人がさっきから話しかけてるって言うのに」

「ごめんね、ムトウさん〜」

甘えられるとどうも弱い。

ムトウはいやぁ〜別にそこまで・・と言ったりしていたが

ススムはもう既にマスターの前へと駆けていっていた。

「ねぇ、マスター」

「どうしたススム、なんか嬉しそうだなぁ」

「ふふ、あのねぇ、実は・・発表があります!」

そう言ってススムはさりげなく、横のカトウに腕を絡ませる。

するとカトウも、腕を絡ませてススムの瞳を見た。

ススムは照れながらその目を見返して・・・

「・・・・・カトウくん」

「ススム」

「・・・・・カトウくん」

「ススム」

「・・・・・カトウくん」

「ススム」

「・・・・・カトウくん」

「ススム」

「っていつまでやってんだよ!!!!」

ムトウのツッコミが入ったところで、二人はようやく目をぱっと逸らして今度はお互いに照れはじめた。

「・・もう、カトウくんたら」

「ススムこそ・・・」

ちら、とお互いを見て、また逸らして照れる。

そんな動作を三度ほど繰り返したところで、

痺れを切らしたのかマスターが

「・・ススム、さっきの発表ってなんだい?」

と聞いたのに、ススムはあっと小さく言ってひとつ咳払いをした。

「・・・・あの〜、実は〜」

「もう大体わかるけど、言ってみな〜よ」

「俺、ススムは・・カトウくんと交際することになりましたっ!」

敬礼、という風にそう言ったススムの言葉に

「な、なんだって―――――――」と大声を出したのはムトウだけだった・。

「今更何驚いてるんだよ、ムトウく〜ん。

さっきからの様子を見てれば一目瞭然じゃないか〜い?」

「そうですよ、この人わかりやすいんですからすぐわかるでしょ」

「・・・・・た、確かに」

ってことは・・・とムトウはしばし考え、そして

「早速失恋だな」

という言葉が考え付く前にその言葉をマスターに言われた。

「うぎゃー!言わないで下さいよ!!!」

「こういうのはきっぱり言ってやったほうが君のためにもいいんだ!」

「あんた絶対楽しんでるだろー!!!」

「というわけで、皆。俺たちのこと、温かく見もってねv」

可愛く首を傾げて言うススムに、ただ一人納得の行かないムトウはすがりつく。

「な、なんでカトウくんなの・・・」

「だあってぇ〜。カトウくん、人には無いもの持ってるっていうかぁ〜・・・すっごいステキじゃん?」

「うわ、乙女がいる」

「確かにカトウくんはどこか普通の人じゃないな・・・いろんな意味で」

「カトウくんも前から俺のこと可愛いって思ってたらしくて〜。それでカトウくんの方から・・」

「好きだ、ススム」

「か、カトウくん・・こんなところで・・・・」

「二人の愛に場所なんか関係ないのさ」

「カトウくんっ・・・」

「場所っていうか人のことは少し気遣って欲しいけどなぁ・・・」

「でも・・ひとつだけ、俺、悔しいなことがあって・・・」

突然少し暗い顔をして俯いたススムに

一同は驚いてススムに注目し尋ねる。

「ススム、どうしたんだーい?」

「ん・・・実は・・・・・・・・」

そこで真剣な顔でカトウの方を見るもんだから、

一体何があるのかと皆は真剣な顔でススムの次の話を待った。

「あのね・・・」

「うん、何だ?」

 

「・・・・・・俺、カトウくんの・・

赤ちゃんが生めないんだ〜!!!!!!!!!!

 

「「「当たり前だ――――――!!!!!!!!!!」」」

 

あまりの衝撃に、一同はそう叫んだがカトウだけは違った。

「・・・すまないススム、俺が未熟なばっかりに!」

「いや、そう言う問題じゃなくて・・」

「カトウくんは悪くない!俺、今のままでも十分だし・・。

赤ちゃんができたらカトウくんと二人で居るのもなかなかできなくなるでしょ?

だから・・・今のままでも、いいかなって」

「お前どっちだよ・・」

「ススム、でも・・・あんなにヤったのにできないなんてやっぱり〜俺のせいじゃな〜いかなぁ?」

「ぶっ!!!!!」

その会話に、思わず飲んでいたお茶を噴出すムトウに気付かず、更にススムが

「いやそれはカトウくんが悪いんじゃなくて・・多分もっと奥の方に出・・」

「げほぁ!な、な、何言ってるんだ〜!しかも生々しい表現はやめてください!!!

あぁ、ススムが汚れてしまった・・・」

「ススム、わかった。俺もっと奥の方に出・・」

「こらぁ!!!」

「そうすれば、きっと二人の赤ちゃんが・・」

「できねぇよっ!!!!!!!!!」

「ススム、じゃあ今夜あたり・・」

「やだ、カトウくんたら。お盛ん!」

「それはススムが可愛すぎるのがいけないんじゃなーい?」

「もう、カトウくん・・そんなに褒めないでよ〜」

「ほんとの事を、言ったまでだろぉ〜?」

そう言って、またあのポーズをするカトウを、ススムも真似て言う。

「カトウくんだって・・超かっこいいよ!」

「オーイエー、なりがとう〜」

「え、えっと・・・ほんとの事を、言ったまでだろぉ〜?」

「ススム・・こいつぅ・・」

「へへ、カトウくん・・だいちゅきvvv」

「俺だって〜・・・だいちゅきだよ、ススム」

「・・カトウくん」

そのポーズのまま見詰めあう二人を

ただただ呆然と見詰めていたムトウに、マスターが

「どうだいムトウくん?嫉妬するかい?悲しいかい?」

そう聞いたのに、

 

「・・・それが、全然」

あんなバカップル見てたら、そんなこと思えないよ

 

と、答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

よくわからない小説。

舞台見に行って無い方にはごめんなさい。

許して・・・。

書きたかったの〜!!!!!!

二人がほんとにお馬鹿ですいません。

 

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