よく、昔からの友人とかは言うけれど。

お前って腹黒いんじゃないか。

笑顔が怖い。

何を考えてるかわからない。

まぁ、まったくその通りなんだけど。

だって今日もどうやってあの人を手に入れようか画策しているところだ。

 

さて、今日はどんな罠を仕掛けようか。

覚悟しといてよ、幸人さん?

 

 

今日の恐竜やは、もう午後だと言うことで人足も少なく、

恐竜やの面々は明日に備えて下ごしらえを早々に始めていた。

「おい、凌駕。

・・・ボーっとしてるんなら手伝え」

幸人は少しイラついた様子で、野菜の皮むきをしながら凌駕に声をかけた。

「はい、ゆ・・・三条さん」

「・・・?なんだその、『ゆ、三条』ってのは。

俺はそんな愉快な名前になったおぼえはないぞ」

「いやぁ・・・幸人さんって呼ぶのは・・・・・」

二人きりの時だけにしようと思ったんですけど。

そう耳元で凌駕が囁くと、目にも見えて大きく幸人が動揺した。

この恋人は人前でそういう話題を口に出すことが苦手だ。

だけどそれをわざと言ってやると、顔を赤くして

本人は睨んでるつもりでも潤んだ弱弱しい瞳で凌駕を見つめる。

それが見たくて凌駕はついいじめてしまうのだ。

「そ、そんなのは・・・どうでもいい。

何とでも好きに呼べ」

「え〜!だって三条さんがアノ時名前呼んでって・・・」

「っ!!!お前、そういうのを大きい声で!!!」

「どうしたんです?幸人さん」

どうやら制止のつもりの幸人の声のほうがよっぽど煩かったようだ。

心配したアスカが二人の下へ駆け寄る。

「いや、なんでもない。気にするなアスカ。

そういえば・・・」

「え?」

「お前は最初から『幸人さん』だったな・・・」

「???」

あ、そういえばそうだ。

何となく悔しい・・・。

「俺は!最初は三条さん、だったけど。

今じゃ・・・『幸人さん』どころか『幸人』って・・・」

「煩い!お前は馬鹿か!

アスカと張り合ってどうする!俺が・・・」

「好きなのは凌駕だ、って?」

「・・・っ!!!違う!」

うわぁ、真っ赤になっちゃって。

見てるほうが恥ずかしいよ・・・。

そういうわかりやすい反応。

なんとなく、俺だけのものにしたくなる。

「幸人さん、凌駕さんが好きなんですか・・・」

「わ!アスカ!いたのか!」

「さっきからいましたけど・・・。

幸人さん・・・、凌駕さんならきっと貴方を幸せにしてくださるでしょう。

どうか凌駕さんと・・・お幸せに」

「馬鹿か〜!!!」

「は〜い!幸せにしま〜す!」

「お前まで・・・」

がっくりとうなだれた幸人を尻目に、凌駕はアスカに向き合って言った。

もしものために、予防線は張っておかなきゃね。

「アスカさん。と言うわけで、俺たちは愛し合ってますから。

ぜっっっっっったいに、幸人さんに手ぇださないでくださいね♪」

いつもの笑顔でそう言ってやると、

アスカさんは少しおびえたようにコクン、とうなずいた。

ごめんなさい、アスカさん。

でもこの人だけは譲れないんだ。

どんな卑怯な手段を使っても。

「凌駕、変なこと言うな。アスカがおびえてるだろう。

アスカ、気にすることないんだからな。こいつの言うことは全部嘘・・・」

「『嘘』、なんですか?幸人さん。

あんなことしといて、今更嘘なんて・・・言えるんですか?」

「凌駕・・・っ!」

わざとこの人の弱い腰を触りながら、また耳元で低く呟く。

体が硬直して動けなくなっている幸人さんは、めちゃくちゃ可愛かった。

「お前・・・意地が悪い・・・!」

「意地悪?そうですか?俺は世間では人のいい好青年で通ってるんです。

幸人さんだけですよ~?そんな事言うの」

「それは!・・俺だけしかお前の本性を知らないからだろう・・っ!」

「そうです。よくわかってるじゃないですか。

俺があんなことするのは幸人さんだけです。だから幸人さんも・・・」

 

あんな可愛い顔するのは俺の前だけにしてください。

 

「あの〜?お二人とも、どうしたんですか?

幸人さん・・・お顔が真っ赤ですけど」

「・・・うるさい!俺はもう寝る!!!」

「幸人さん・・・足取りも何かふらふらして・・・。あっ!危ない!」

ふらふらして歩く幸人は、そこら辺の物にぶつかって少しよろけた。

そこをアスカが手を出そうとするよりも早く、すかさず凌駕が抱きとめる。

「危ないなぁ・・・大丈夫ですか?幸人さん?」

「っ!大丈夫だ!一人で歩ける!」

「しかたないなぁ・・・アスカさん、俺幸人さんの介抱しますから、

ちょっと店抜けてもいいですか?」

その言葉に何かを察した幸人さんは腕の中で激しく暴れるものだから、

もっとふかく俺の腕の中へ沈むことになる。

「あぁ、もちろんいいですよ」

「凌駕っ!!!」

「それと幸人さん寝不足みたいだし、今から少し寝かせるので

幸人さんの部屋に誰も近づかないよう皆に言っててもらえます?」

「はい!もちろん!」

「凌駕!話を聞け!」

「・・・はい。何ですか?幸人、・・・さん?」

艶を含んだねっとりとした声で返事をすると、その雰囲気に気づいたのか

幸人さんはまた顔を真っ赤にする。

「幸人さん・・・いい夢、見せますからね」

とびっきりの笑顔でそう言うと、

どうやら諦めたらしい幸人さんは顔をしかめながら

「悪夢にならないといいがな・・・。

というかお前の笑顔そのものが悪夢のようなものだけど」

と言うので俺はまた軽く笑った。

 

この笑顔はあまり笑わないあなたのために。

この笑顔は素直じゃないあなたのために。

この笑顔で貴方を手に入れる。

――― 笑顔が罠。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コメント>

なんだか最初と趣旨が変わって変わって・・・終わった〜(終わった?!)

最初から何にも、設定も考えずただ腹黒赤だけを想って書いた結果がこのざまです。

だってホントに何にも考えてなくて、二人、というか三人の会話なら

こんなんかな〜?って書いていっただけですもん。

そりゃダメだわ。

なんかアスカが哀れでなりません。

当て馬状態ですし。

それでも何にもわかってないんだろうなこの人は。

最後アスカが消えてるし。

出そうとしたらなんかただの邪魔な文にしかならなかったので消した。

ごめんよ・・・よし、これはアスカファンから逃げるしかない!

じゃ、今日も元気に()

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