夏の風物詩

 

 

 

「ねぇ宝児、夏の風物詩といえば?!」

「え?」

「じゃあん、コレ!」

「・・・・怖いビデオ?」

「そ、俺好きなんだよね〜」

「今から見る気か?」

「うん、だって宝児今日しないっていうし」

「・・・・・だって明日朝から忙しいから・・」

「だから、ビデオでも見て気を紛らわそうと思ったのであります」

そう言ってセンが取り出したのはレンタルビデオ。

その表紙には『ほんとにあった呪いのビデオ』という題名と、怖い顔の女の顔も書かれていた。

ホージーはセンのベッドの中でもう寝るつもりだったため、それを怪訝な顔で見た。

そんなホージーに構うことなく、センはベッドの上にテレビとビデオをセットし、

自分もホージーがすでに入っているベッドに潜り込んでくる。

「狭い・・」

「俺のベッドなんですけど」

文句を言うホージーを押し退けながらなんとかセンはベッドに入ると、ホージーと自分に毛布をかけてやる。

そしてそこから頭だけを出して目の前テレビがくるように調節を始めた。

「こんなんだと目が悪くなるぞ」

「近ければ近いほどこういうのって面白くない?」

「・・・・そういうもんか?」

「そうですよ?」

そうにっこり笑うセンに、ホージーはウンザリといった顔をした。

 

今日はセンの部屋にいつものように遊びに来ていたホージーが、

遅くなって自分の部屋に戻るのが面倒くさいという理由でセンの部屋に泊まることになった。

こういうことはよくあったが、そのまま夜の営みに発展していくこともあれば

今日のように次の日がハードな仕事だったりするときはただ二人で寝るだけの日もあった。

でもそんな状況が健全な男なら耐えられるはずも無い、というセンの思いから

今日は気を紛らわすためにビデオを借りてきたというのであった。

「だってさ、ホージーと同じベッドで寝てて手を出さないように耐えるのってすっごく辛いんだよ」

そう言うセンに、ホージーは顔を赤く染めながらしぶしぶ今日のビデオ上映会を許可したのであった。

そしていよいよビデオが始まる。

最初はタイトルがでて、その後顔に血を流した女がでてきて、突然『キャーーーーーーーーーー』と叫ぶ。

そしてその女の開いた口のなかに吸い込まれるような効果の後、別の映像が顔を覗かせた。

「わ〜ドキドキしちゃうね」

「・・・・・」

無言のホージーをセンはビデオに集中しているととって、またビデオに視線を集中させた。

今度はあるエレベーターに男が乗り込むシーン。

男がそのエレベーターのドアを閉める寸前、男は中に女が立っていることに気づく。

そしてその女をちらりと男が振り返った瞬間・・・・。

女は顔を上げ、男を見てにやりと笑い、自分の髪をを手で掴む。

そしてそのまま自分の髪の毛を掴んで上にひっぱると・・・・・。

なんと女の頭がそのまま上に持ち上がって、首から上がすっぽりと取れてしまった。

『わーーーーーーーーーー!』絶叫する男の声も空しく、エレベーターのドアは閉まってしまう。

そして砂嵐。

「すっごいね、今の。

しかもこれほんとに存在したビデオなんだよ?怖いね〜」

怖いといいながらもどちらかというとわくわくした表情で、センはまた始まったビデオの映像に目を戻そうとした。

が、ふと隣のホージーがさっきから全く動かないのに気づき、不思議に思い声をかけようとし、

しかしこんなときにはお約束で、驚かしてみたくなったセンは、そっとホージーの耳元に口を寄せて

「わっ!」

と大きな声を出した。

するとホージーの体が大きくビクン、と跳ね真っ青な顔のホージーがこっちを向いた。

てっきり馬鹿にされると思った行動に、意外な反応を返したホージーに驚き、

センは様子を伺うようにその顔を覗き込もうとした。

と、その瞬間ビデオからまた女の『キャーーーーーーーーーー』が聞こえて

今度ははっきりセンはホージーのその声に対する反応を見てしまった。

ホージーはその声が聞こえると同時に耳を両手で押さえて布団に潜り込んでいる。

「ほ、宝児・・・?」

驚いて布団の中のホージーを見れば、その声にホージーはセンの顔をゆっくりと顔を上げて確認してから

そして凄い勢いでセンの胸の辺りに腕を伸ばして抱きついた。

「ちょ、どうしたの・・?」

「・・・・・・何でも・・ない」

そうホージーが呟いた瞬間、今度はビデオの中の男が『助けてくれーーーーっ!!!』と絶叫した。

するとその声にホージーは体を大きく揺すってから更に強くセンにしがみついた。

その様子に、センはやっとその事実に気づいた。

「宝児・・・・まさか、怖いの?」

「・・・!・・んな・・・・わけ・・・・・・・・あるか」

「じゃあ・・なんでこんなに強くしがみついてるのさ・・・」

「それは・・」

そうホージーが言いかけたとき。

またビデオから不気味な音楽と女の『ふ、ふ、ふふふふふふふふ・・・・・・』という笑い声が聞こえた。

するとホージーは何を思ったか、急にセンに自分からキスをしてきた。

「ん・・ほう・・・じ・・」

「・・は・・・・っ」

あまりの激しいキスに、センもたじたじになりながらそのキスを受けた。

ややあって離れたその濡れた瞳で見上げてくるホージーに、センは思わず息を呑む。

どこか怯えているような、懇願してくるようなその目に、センは自分の理性が吹っ飛ぶのを感じた。

「宝児・・・・?」

「セン・・・・・・」

「キスで怖さ紛らわすくらい怖いなら、怖いって言ったら?」

「・・・・・・・怖くない」

「そんな怯えてる顔で言っても説得力ないんだけど」

その言葉に、少し拗ねた顔をしたホージーだが、ふとあるものに気づく。

自分の足の辺りのセンの足。

そしてそこ中心の少しの膨らみ。

同じ男だからすぐその反応に気づくことができた。

「お前・・・・・・!」

「あ〜!もう、我慢してたのに、宝児がそんな顔するから」

「俺のせいか?!」

「そうだよ!」

「どうしよう・・・?」

「どうもこうも・・・」

何とかその高ぶりを抑えようとするセンだったが、ホージーが抱きついてるためなかなか収まらない。

そのためセンはなんとか宝児を引き剥がそうとやんわりと宝児を押し返しながら言った。

「宝児、少し離れて・・・」

「・・・い、やだ」

「・・・・・え!!!???」

「・・・離れたくない」

「何でそういう可愛いこと言っちゃうの」

がっくりと項垂れるセンに対して、高ぶりは一層大きくなっていく。

そんな中、ふたりの頭上のテレビでは最後の映像が流れていた。

ドライブの途中で森に迷い込んだカップル二人。

突然エンジンがかからなくなって焦るが、何とかエンジンをかけようとする。

そんな時後ろから誰かがその車の窓を叩く。

それに女が気づき、振り返れば・・・そこには気味が悪いほど沢山の手がうごめいている。

『きゃあーーーーー!』女は絶叫し

隣の男にしがみつく。が、その男を見ると・・・・・・男は腐乱した死体になっていて・・・・・・・・・。

「わ!!!!」

女が発するより早く、隣の男が悲鳴を上げて、しかも自分から一気に離れたのを見て

センは大きな大きなため息をついた。

「宝児、俺は死体じゃないよ」

「わわわ、わかってる・・・・・」

「じゃあこっち来なよ」

そうセンが手を伸ばした瞬間、今度はセンの部屋にあった置物が大きな音を立てて倒れた。

それはただ風が起こした現象だったが、ホージーは大いに驚き、慌てて起き上がりまたセンに抱きついた。

しかもあまりに勢いが強すぎたため、ホージーはセンの上に乗り上げた形で抱きついている。

「い・・痛・・・・・宝児、重いよ」

「なんだ、何が起こった・・・・?」

「風だよ、ただの」

「風・・・・」

安堵するホージーを、センは仕方なく仰向けのまま上に乗っかってるホージーの頭をよしよしと撫でてやる。

ホージーもそれをすんなりと受け入れて、センの肩口に顔を埋めた。

だがホージーはその格好のためかまたその変化に気づくことになる。

「おい、お前・・・さっきより・・・・・」

「もお・・あったり前でしょ・・・・。

しかもさっきからその体制だと宝児の足が丁度当たって随分といい刺激を与えてくれてるからね〜・・・」

「う、嘘・・・」

「いいよ、後でトイレでもいってくるから・・・」

「い、嫌、駄目だ。俺の傍を離れるなよ・・・」

「・・・宝児、じゃあどうすれば?」

その時。エンドクレジットの後に、さっきの最初に出てきた顔に血を流した女がでてきて、

また『キャーーーーーーーーーー』と叫んだ。

と同時にホージーは、センの肩口に更に顔を深く埋めて、その耳の傍で小さく

「・・・・しよっか」

とほんとに小さく、呟いた。

センはその言葉に少し動揺と興奮を覚えつつも、なんとか理性を保ってホージーを宥めようとする。

「こら・・駄目なんでしょ?

いくら怖いのを紛らわすためだっていっても・・・」

「い、いいから・・・な?」

「駄目だって・・・・」

「・・・・・・・・・・せ・・ん」

耳の傍でそう熱っぽく、しかも甘えた声でそう言われてはさすがのセンもひとたまりも無かった。

しかも、ホージーはセンを促すためにその足をもぞもぞと動かす。

そこから与えられる刺激はセンを欲情させるには最早十分過ぎるほどだった。

耐え切れず思わずその自分の上のホージーをひっくり返して組み伏せば

どこか不安げに揺れる瞳が途端に満足げに光った。

「もう、明日どうなっても知らないよ・・・?」

「ん・・セン・・・・・・・」

「しかも、ちょっと優しくできないっぽいんですけど」

「ア・・・・・・・・っ」

「宝児・・・・」

あまりの怖さで冷たくなってしまった体を、センは全身を使ってその体を優しく温めるように徐々に追い詰めていく。

やがてホージーの頭の中は、センで一杯になって、何も考えられなくなり

先ほどの恐怖も忘れて、ただ愛しいセンの名前をうわ言のように呟くだけだった。

 

 

 

次の日・・・。

「あれ?ホージーさんは・・・?」

「・・・・・・・今日は俺が替わってあげたんだ」

「どうして?センさん、今日非番でしょ?」

「それには深い訳が・・・」

何故か非番なのに勤務に出てきて、しかもどこか申し訳なさそうなセンに

「あら、我慢できなかったんだ・・・」

と何かも知っているような口調のジャスミンに

「ごめんなさい・・・」

とただ謝るしかないセンの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

夏の風物詩!ですよね。

でもどこのサイト様でもやっていて、きっと一番へぼいんですけど

ついやってしまいました。

しかもまた裏に進むとこでした、危ない。

センちゃんを誘うホージーというリクで・・・(自分で)

あははどうしようこれ・・・(がっくり)

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