そんな一日

 

 

 

 

「おーい、翼!こっち手伝えー」

「え〜、やだよ!!!なんで俺が」

そんな会話で、目が覚めた。

うっわ最悪、寝坊した。

これ、阻止しようと思ってたのに!

まんまと・・・失敗してしまったみたい。

しかも最悪の寝起き。

最低、最悪な・・。

「もー俺は忙しいの!」

「だってお前ふらふらしてるじゃないか!

たまには兄ちゃんのお手伝いしろ!」

「えー・・」

窓の下から聞こえるそんな会話に、俺は眉を顰める。

ブツブツ言いながら、でもちぃ兄はお手伝いしちゃうんだろうなぁ。

仕方ないから窓から庭の『兄貴農場』を覗いてみる。

すると案の定、そこには愛する兄ちゃんたちの姿。

そしてやっぱりちぃ兄は・・・。

「もう、仕方ないなぁ・・・」

すっごい嫌そうに、兄貴農場を耕し始めた。

でも、なんで兄貴は気付かないかなぁ?

その、ちぃ兄が自然にしてる軍手とか、

汗をかいてもいいようにいつものかっこつけた格好じゃなくて

あまり普段は着ないTシャツ着てることとか。

熊手を、用意してたとことか。

「そういうとこが、やっぱりまだ譲れないんだよ・・・兄貴」

俺は随分前から気付いてた。

ちぃ兄は嫌だ嫌だと言いながらなんだかんだ言って兄貴と一緒に何かしたいんだ。

だからわざと暇なフリしていつも農場をうろうろしてる。

そしてうまく兄貴が気付いて、そして二人で農場を耕すんだ。

その時の嬉しそうな顔っていったら・・。

「おい、翼見てみろ!ほら、これこの前植えたイチゴ!!!」

「うわ・・・すっげぇ」

「そうだろ?手をかけて育てれば、なんだってちゃんと育つんだよ」

「・・・・へ、へぇ」

「お前も手伝ってくれたんだよな、このイチゴ育てるの。サンキュな」

そう言った兄貴がちぃ兄の頭に手を置いて撫でようとした。

けれどちぃ兄はそれを思いっきり振りほどいて

「子供じゃねぇんだから、やめろよ・・」

なんて突っ張ってみせる。

けどそんなちぃ兄を、兄貴はにこやかに微笑みながら

「お前なんて俺から見たらまだまだ子供だよ」

と、やっぱり頭に手を乗せてぐしゃぐしゃと撫でた。

「もー、うっさいな」

ちぃ兄はそれをしばらく大人しくされるがままになってたけど

ふと我に返ってまた振り払って、そっぽを向いた。

そんなちぃ兄の後姿を、兄貴はまだ笑いながら見ていて。

やっぱりまだまだ子供だ、なんて口元を綻ばせている。

でも、やっぱり兄貴はわかってない。

上から見てるから見えてしまったちぃ兄の嬉しそうな顔。

その突っ張った態度が照れ隠しだって事。

そしてまだまだ子供だ、なんて言われて年の差に少し拗ねてること。

まだ、全然わかってない。

「・・・やっぱり、まだ・・渡さない」

そう呟いて、部屋にあったサッカーボールを兄貴農場のほうへ軽く投げてやった。

するとちぃ兄が最初に気付いて、俺のほうを驚いた顔で見た。

そして、見られてたのか・・って顔をして、少し照れたような顔もした。

少し赤くなった顔を、必死に手で仰いで冷ましている。

「おーい、ちぃ兄、俺とサッカーしない?」

わざと、ちぃ兄が困るようなことを言ってあげると

ちぃ兄はすごく嫌

そうな顔で、兄貴を見た。

すると兄貴はそれがちぃ兄がサッカーしたがってると思い込んで

「こっちはいいよ、行って来い、翼」

なんて全くちぃ兄の思いとは逆の言葉をかけてしまう。

あーあ、駄目だこりゃあ。

「・・・・・・わかったよ」

ちぃ兄は仕方なく俺のとこまで来る羽目になって、凄く嫌そうに家の中に入ってきた。

そして、中で待ち構えていた俺を凄い目で睨んでくる。

でも俺はそんなのには負けず、不敵な笑みを返してやった。

「・・あんなの、やめとけば」

「・・・・・・大きな、お世話」

「・・・あの人、だって鈍感だから一生気付かないよ」

「・・・・・・・・・・・うっさい」

俺の肩を、どん、とどついてその横を通り過ぎていくちぃ兄には

俺が二人を一緒に居させないためにサッカーしようって言ったことなんかバレてる。

「お前こそ、報われないなぁ?」

「・・・さぁ、わかんないでしょ?」

「・・・・・どうだか」

「絶対、好きになってもらうよ、ちぃ兄」

俺の呟きを背中に受けても、ちぃ兄は冷静なまんまの声で

「・・・・・・・ガキ」

そう、一言だけ言って階段を上がっていった。

酷いなぁ、ちぃ兄。

だけど、俺は諦めるつもりなんか無いよ。

欲しいものは欲しい、子供だからね。

ガキを、なめんなよ・・・?

そうして、俺はサッカーボールを片手に

太陽の照る外へ元気よく駆け出していく、そんな一日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

こんな小津家は嫌だなぁ・・・と思いながら書きました(笑)

ちょっと2月20日の夢の内容を小説にしてみました・・

こういうのが理想みたいなの・・だめだこりゃあ・・・(汗)

つーくん、どうなのこれ。

魁ちゃんもどうなの!腹黒!

はぁー・・私のサイトのマジどうなっていくんだろう;

感想聞かせてくださったら嬉しいです、ほんと。

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