むらむら

 

 

 

「はー・・・」

満足そうに、俺は屋上でそう深呼吸をした。

俺だってそりゃあパーフェクトなプロだけど息抜きだってしたくなるさ。

だから早めに仕事を終わらせてデカベースの屋上に気分転換に来た訳。

涼しい風に制服の上着を脱いで、Tシャツ一枚になる。

「・・・・・・気持ちい・・」

Tシャツの裾が風になびいて浮き上がる。

そこを風が通り抜けて、俺は心地よさに似大きく両腕を広げて背伸びをした。

「んー・・・・!」

と、その時。

デカルームの前の道路に、誰か人が居るのが見えた。

あれ?あれセン・・じゃないか?

緑のジャケット、黒髪・・・間違いない。

そのセンは何故かこっちをじー・・・っと見ている。

しかも、チョコチョコ動いていい位置を探しているかのようだ。

それが、自分のTシャツの中身を覗こうとしてると気付くの数分。

怒りが湧き上がってくるの、数秒。

「こらー!!!」

思わず叫べば、Tシャツの中身だけを追っていたセンの視線はやっと俺の顔に向いた。

そして「げ」っという顔をしてそれから「あちゃー・・見つかったー」って顔をした。

な、なんだあいつ!

Tシャツの中身に夢中で俺が見てるのに気付かなかったみたいな。

この・・・変態!

堪らずライセンスをデカグリーンに合わせ、センを呼び出す。

「セン・・・?」

『・・ああ、宝児』

「・・・・お前今何見た」

『だってーつい。宝児のなら見ちゃうもん』

「もんじゃない!俺のなんか見て喜ぶのはお前だけだ!!!」

『男なら普通でしょ?好きなコならこう・・ムラムラっと・・・』

「へ・ん・た・い!」

思わず思いっきり大きな声で言って通信を切った。

そして怒りに任せて屋上から猛ダッシュでデカルームへと向かう。

男のTシャツの中身を見て喜ぶなんて、あいつおかしいんじゃないか?!

あいつに会ったら教育的指導として一回ひっぱたいてやろう・・そう握りこぶしを作りながら。

 

デカルームへ向かう途中は、たくさんの人とすれ違う。

それは整備員だったり、事務員だったり、様々だけど。

いつもなら邪魔にならない人ごみも、今は邪魔になる。

ああ、もう・・そう思いつつ、階段で前の整備員らしき男達4人の後ろで地団駄を踏んだ。

(邪魔だ、邪魔だ・・・)

そうイライラしつつ男達の後ろに付いて行く・・・・と。

「チラリズムは、男のロマンだよなー」

「そうそう、女のチラリズムに欲情しなくなったら、終わり」

「むしろ自分の恋人のチラリズムだと、余計に燃えるな」

「仕事中でもお構いなく見ちゃうよ」

「今はセクハラだとか煩いけどなぁ」

「でも恋人なら、仕事中でも欲情して当たり前だろ」

「好きな限り、やっぱりムラムラするよな」

「居ないくせに」

「そう言うなよ」

あははーと笑いながら去っていく男達の後姿を見送り・・・。

た、タイムリーな・・と思わず呟く。

チラリズムは男のロマン?

しかも恋人なら余計に燃える?

じゃあ、センは俺のチラリズムを見るのは当たり前?

・・・ううん。

そうなのか・・・・・・・?

仕事中でも恋人になら欲情するものなのか?

悩んでいる俺の前に、今度は女の集団が通り過ぎて行った。

揃いも揃って短いスカートなんか穿いちゃって。

そして階段を上っていくその後姿を呆然と見送ると・・・。

(げ・・・)

見ちゃった・・・見えちゃった。

あんな短いスカートを穿いているのが悪いんだぞ。

でも・・男なら欲情するはずだろう?

俺は、俺は・・・・どうして、ムラムラしない?

そりゃあ、ロマンかもしれないけど。

うう・・・・あんまりときめかない。

なんで、どうして。

 

そんな思いを胸に、ようやくデカルームについて。

開けっ放しのドアから、中が見えた。

そこには書類を持ったあの後姿があって。

思わずその姿に見入ってしまう。

逞しい腕とか。

広い背中とか。

つやつやの髪の、そのえりあし。

優しい声。

耳。

長い足。

太もも、ふくらはぎ。

そのただそこに立って息をしているその事実とかが。

その全てが、俺をどうしようもない気持ちにさせるんだ。

(どうしよう・・・・)

ああ、なんとなくわかった。

好きだから、欲情するんだな。

チラリズムだって、見たいと思うのも不思議じゃあないのかも。

変態だって、いいじゃないか、俺限定なら・・普通だ。

俺だって、今はセン限定に欲情するんだから。

さっきの女性のチラリズムにムラムラするより

センの後姿を見てた方がムラムラする。

そうか、そうなんだな。

好きな奴を見てるときが、一番欲情するんだ。

(・・・俺、センが好きなんだ)

 

そして俺は、デカルームに颯爽と入っていって。

センの横をすれ違いざまに

一回ひっぱたいてやる代わりに

 

そのお尻を

 

さらりと撫でて通り過ぎ。

 

凄い顔で振り返ったセンの顔を無視して

「セクハラ返し」

そう呟いて

ドサっと書類を落として慌てるセンを尻目に

くく、と意地悪く、背中で・・・笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

ごめんなさい。

あまりにもな出来なのはわかってます・・・・

でも捨てるの、もったいなくて!!!!

うわーん、マジですいません。

駄作にもほどがあると・・・。

こんなの正気で発表できないよと。。。。

うううううう・・・・・・・。ごめんなさい(ひたすら平謝り)

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