「あ〜・・・暇。なんて今日は暇なの〜!」

「ウメコ、ため息をつくと一つずつ幸せが逃げていくわよ?」

「だってぇ〜今日すっごく暇じゃない?ジャスミンだってさっきから欠伸ばっかりしてるじゃない。

あ〜あ・・・なんか面白いこと無いかな〜・・・・・あ・・・!」

「え?どうしたの、ウメコ」

「遊んでくれそうな人、はっけ〜ん♪

ねぇジャスミン、コソコソ・・・

「ふぅん、面白いかも。

でも・・・どうなったって知らないわよ」

「大丈夫だって!うまくいけば私たち恋のキューピットよ♪」

「そううまくいくかしらね・・・」

 

「それは、やってみないとわかんないじゃない」

「・・・それは、そうね」

 

デカルームで暇を持て余していたウメコが

遊んでくれそうなターゲットを発見して、白羽の矢を立てる。

そのターゲットにされた不幸な『彼ら』に

ご愁傷様、とジャスミンは心中で呟いた。

 

その不幸なターゲット達は超至近距離で並んでデカルームに入ってきて、

ウメコ達が居るのを見た途端にパッと離れた。

そこにウメコが素早く駆け寄る。

「センちゃ〜んv聞いて聞いて〜」

と叫びながらそのすぐ横に居た宝児にわざとぶつかりながら二人の間に割り込んでみたりする。

宝児は突き飛ばされながら、横目でちらっとウメコを見てちょっと不満そうな顔をする。

が、何も言えずその場に居ずらさそうに近くのイスに腰掛けて置いてあった雑誌を開いた。

(あらあら・・・雑誌逆に持ってるわよ、ホージー・・・・・・・)

ジャスミンはその光景に少し笑みを浮かべながらも、

ウメコが合図するのに呼ばれてセンのすぐ側まで近寄る。

「センちゃん、あのねぇ〜私達、すごいもの見つけたのよ〜」

「そうそう、ジャーン・・・驚き桃の木、でしょ」

「あ、これ・・・」

「センちゃんが欲しがってたカエルさんのキーホルダーだよ〜♪」

「すごいじゃん、ウメコ。どこで手に入れたんだい?」

「ん〜・・・じゃ、今度一緒に行って連れてってあげるね〜♪デートだねv」

「え・・・っと、あぁ・・・よろしく頼むよ」

そう言ってセンはチラリと横の宝児を伺う。

が、宝児はそれに何の反応も示さない・・・ように見えただけだった。

ジャスミンはそれに気づき、笑いを堪えるのに必死になる。

宝児は雑誌を逆さに持ったまま、それをすごく早いスピードでめくっている。

それは高速、いや光速と言ってもいいほど。

しかも無表情で。

(ちょっと・・・怖いわ・・・)

ジャスミンはそんな宝児に少しばかりの罪悪感を覚える。

しかしそんなジャスミンを横目に、ウメコはまだセンにまとわり付いていたままだ。

「あとね〜センちゃん、見たいって言ってた映画の割引券、GETしたの」

「え、それ、俺にくれるの?」

「あげるけど〜・・・あたしも行きたいの、センちゃん一緒にどう?」

そのウメコの答えに、宝児はページをめくる手を止めたのだが

雑誌を持つ手はプルプルと小刻みに震えている。

(怒ってる、怒ってる・・・・)

どう見ても怒りを露にした宝児を見て、ジャスミンはウメコに『もうやめたら?』と合図をしてみるが

やっと見つけたオモチャを手放す気はさらさらないようだ。

そんな中、センはやんわりと笑ってさっきのウメコのお誘いに

「せっかくだけど、先約があるから・・・、ゴメン」と答えた。

(あぁ、そういえば宝児とそんな話をしてたの聞いたような・・・・)

などとジャスミンが回想していると、

横に居る絶好調なウメコが核心を突いた質問をした。

「え、誰と?」

そのウメコの言葉に、部屋中がシーンとなる。

しかしそこはセンだ。

その沈黙を破って、いつもの貼り付けたような笑顔で「秘密v」と一言だけ答える。

そんなセンの努力も空しく、ウメコは次の爆弾を投下する。

「へぇ〜・・・あっやしいぞ〜!もしかして、彼女?」

(・・・知ってるくせに)

ジャスミンはウメコのしらじらしい演技に心中で毒づくしかなかった。

「いや、ちょっと・・・『彼女』ではないけど・・・・」(彼氏、なんだよね・・・)

言わなくてもセンがそう考えてることがわかって、ジャスミンは苦笑する。

そこへそんなジャスミンの腕を引っ張って自分の腕を回すウメコに、

ジャスミンは不思議な顔をしたが、次にでたウメコの言葉にその表情は青くなって固まった。

「センちゃん、彼女いないんならアタシ達なんてどう???」

 

グシャ

 

一際大きく響いたその音に、ジャスミンが横目でその方向を伺えば

宝児が持っていた雑誌を握り締めていた・・・否正確には『握りつぶしていた』。

それでもウメコは構わず、まだセンにひっついたままで

腰に手を当てて自分をアピールしたりしている。

そんなウメコにセンも仕方なく、

少しぎこちない笑みを浮かべて

 

「二人とも、とっても可愛いと思うよ」(宝児には敵わないけど)

そう、微笑んだ・・・瞬間。

 

ビリッ

 

(((あ・・・・・・・・・・・破いた・・・・・・・・・・・・・・)))

そのすさまじい音に一同の目が宝児に集中する。

宝児もやっとそれに気づき、バツが悪そうにしながらデカルームから足早に立ち去ってしまう。

宝児の足跡が聞こえなくなってから、おもむろにセンが口を開く。

ウ〜メ〜コ〜?!

「はい、やりすぎました・・・でもセンちゃんには最初から全部お見通しだったんでしょ?」

「ま、ね。でもさぁ、ホージーは俺達の関係がまだばれてないと思ってるんだからあんまいじめないでやってよ。

君は全部知ってるくせに、ちょっと性質が悪いんじゃない?・・・とは思うけど、実は・・・・・・ちょ〜嬉しかった!」

「へへ、でしょ?でもさぁ、あれでばれてないって思うのが、すごいよね」

「・・・ま、あのホージーだからね」

そう呟いてセンは机の上の無残な被害者を見る。

被害者ことその雑誌は、しわだらけで、びりびりに破けてて、おまけに所々指のめり込んだ形跡がある。

それをセンが拾い上げて、「あちゃー」と渋面をつくる。

「あ〜あ・・・これボスの雑誌なのに・・・」

でも、それを手にとるセンはどこか嬉しそうで。

そして自分の顔の横に持ってきて、私達にその雑誌がよく見えるように広げる。

そして

「これ宝児の嫉妬の証〜

語尾にハートマークをつけてそうとても嬉しそうに笑った。

そんなセンに、ウメコとジャスミンも笑って

「感謝してねv」と返す。

するとセンは、

「感謝はするけど・・・怒ったホージーを宥めるの、結構大変なんだからね〜」

と言い残し、ドアの向こうに消えていく。

 

その去り際のセンちゃんといったら。

 

「あんな幸せそうな顔して〜・・・だらしないったら」

「ねvうまくいったでしょ?」

だらしない、と言いながらも笑うジャスミンの隣で

小さな子悪魔は

そう言って

まるで天使のように、笑った。

 

 

 

<続く→>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

長くなったので、続けよう。

明日UPするのだ!!!

頑張る〜。

 

この続きは

「センちゃんが宝児を宥める話」

になります・・・。

(宥めてないけど)

では、プラウザの戻るで戻ってくださいませv

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