「宝児、いる?」

そう呼びかけても宝児の部屋は反応を返さない。

でも、センは素直じゃない彼がちゃんと鍵を開けて

センが来るのを待っていることがわかっていたので迷わずにノブを回した。

案の定、鍵は開いていてそのことに微笑しながらドアを開けて中に入る。

「宝児、入るよ」

一応そう断って、見慣れた部屋の中に足を踏み入れると

丁度部屋の真ん中にあるベッドに彼が背中を丸めて座っていた・・・が

突然宝児はすくっと立ち上がり、センのすぐ目の前までつかつかと歩いてきた。

 

そして

「ん・・・・・!」

瞬間、すごい勢いでセンの唇に何かが突進してきた。

考えるまでもなく、唇に当たってるものは

何度も味わったことのある

宝児の、唇だった。

「ちょ、ちょっとほう・・・ん・・」

焦って逃げようとするセンをその唇が追いかけてくる。

引き剥がそうとしてもセンの服をぎゅっと掴んで背伸びをしてでもまだセンの唇に食いついてくる。

その唇は少し下の角度からセンの唇を攻め、すぐに舌を差し入れてきた。

挑発された気がして、甘いその舌に自分の舌を絡ませようとすると

その舌はまるで生き物のようにセンの口の中を逃げ回ってセンは捕まえようと躍起になる。

最初は宝児のほうがセンに倒れこむような形だったのに

いつのまにかセンが宝児の腰を支えて、宝児に覆い被さるようになりながら立っていた。

宝児がリードしていたキスだったが、それが今はセンが思うように宝児を翻弄するだけだった。

「ん・・・・・・はぁ」

宝児から漏れる声に刺激され、センは息も何もかもを奪いつくすかのように

その口内を何度も何度も角度を変えながら貪るように侵しつくす。

宝児は苦しさからか、・・・それとも快感からか

背中を弓なりにしていて、センが支えていないと今にも後ろに倒れてしまいそうだ。

センはその腰と、背中をしっかりと強く支えて引き寄せてやる。

すると宝児も珍しいことにセンの背中に腕を回す。

そして二人はしばらくそのままでお互いを、食べつくした。

 

「っ・・・・・は、はぁ・・はぁ」

ややあってどちらからともなく唇を離すと

欲を宿した宝児の顔が俺を睨んでいて、思わず目が合った。

するとその目が挑戦的な光を宿し、その濡れた唇の片方だけをあげて

宝児は小さくにやり、と笑った。

「お前の、そんな・・・顔、見れるのは・・・俺だけだ」

いつもの

穏やかなセンとは違う

宝児の前だけで見せる

その

欲を堪えた

一人の男の顔 ――――――

息も整わぬ声でそう言って、

次の瞬間突然その表情を強張らせた。

そして

「お前が好きなのは、誰だ!!!」

突然の大きな声に、センは驚いて目を見開く。

その怒ったような口調に、気圧られながらも

センは何とか口を開いて答えた。

「戸増・・・宝児クン、です・・・」

すると宝児はセンに詰め寄って、センの顔の前に人差し指を突き立てる。

そしてその間近にあるさっきまで貪っていた唇が大きく開かれた。

と、そう思った瞬間。

 

「だったら、ウメコごときに隙を見せるな!!!」

「一緒に映画やらデートやら言語道断!!!」

「俺が好きなら、他の奴に甘い顔をするな!!!」

「わかったか!!!!!」

 

「は・・・・・・・・・はい」

 

まるで機関銃のように一気に発せられた大きな声に

思わず後ずさりをしながらも、センは何とかそれだけを答える。

すると宝児は途端にくるりと背を向けて

つかつかと自分のベッドに歩み寄って

少し飛んだかと思いきやあぐらを掻いてボスン!とベッドの上に着地した。

「ほう・・・じ?」

何事かとその背中に向かって話しかけてみても全くその背中は微動だにしない。

センがどうしようかと思案を巡らそうとしたその時。

 

その背中が

ちょっと寂しそうな背中が

小さく

本当に小さく

呟いた言葉に

 

センの顔が筋肉をなくしたかのように

しまりない、って言われても仕方ない位に

 

一気に、緩んだ。

 

いまだかつてないくらいに、にやけた。

 

『ウメコ相手に・・・ヤキモチなんか妬かせるな』

 

「宝児!!!」

センは思わずその背中に後ろから抱きついた。

この湧き上る制御できない気持ちをどうすればいいのかわからなかったから

本当に強く宝児を抱きしめた。

その肩に顎を乗せ、耳元に唇を寄せる。

「ごめんね」

そう囁けば

「・・・フン」

と揺れる肩。

でもその耳はもう真っ赤で。

愛しくて愛しくて仕方なくて、

嬉しくて嬉しくて幸せすぎて。

「俺って、幸せ者だなぁ〜・・・」

思わずそう呟けば

「だろうな」

とふて腐れたような声。

どういう意味かと、首を傾げれば

「このオレサマに愛されてるんだから、当然だ」

ちょっと怒ったような

でもどう見たって照れ隠しだとわかる声でそう言われたら

嬉しすぎて

夢かな〜・・・

とかそうセンが思ってみても不思議じゃないはず。

「俺、愛されてるんだ〜・・・」

と、しみじみそう言ってみると

しまった・・・というような横顔。

「俺もう、最高に幸せすぎて・・・死んじゃうかも」

そう耳たぶを甘くかみながら言うと、

「ば〜か・・・お前なんかささっと天国行っちまえ・・・」

憎まれ口すら可愛い、そう思いながらセンは顔がみたくて宝児の体をを反転させてやる。

耳まで赤い、その久しぶりに見た気がする顔に、軽いキス。

「何、天国にイかせてくれるの?宝児のカラダで」

つつーっと、その目の前の体を一本指でなぞると、宝児がしかめっ面をする。

じゃなくて、これは・・・感じてる顔だ。

可愛い、そう呟けば

「お前、本物の天使になりたいのか・・・?」

怒りモードの宝児が指で銃をつくって、センを打ち抜く仕草をする。

打ち抜かれたセンは、倒れる・・・宝児の上に。

センの下の宝児は、なにやら困ったような、照れているような、変な顔で俺をじっとみつめる。

そのセンを惑わす瞳の美しさにセンは眩暈を覚える。

そして酔いしれたようにその体に唇を寄せる。

「天使なら・・・ここにいるしね〜・・・・・」

「口の減らない・・」

と言う、『口の減らない』口で『口の減らない』口を塞ぐ。

 

「お前は、俺のモンなんだからな・・・・・・・・・・・」

                                    

センの胸に顔をうずめてるためくぐもりながらも

聞こえたその上擦った声に

センはその体をぎゅっと抱きしめて、

 

「俺・・宝児の物になれてほんと・・・・・・・・・・幸せ」

 

耳元で囁いた。

幸せだって、何回も囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

ちょっと遅くなりましたが、完成!

よかったよ、無事に完成して〜・・・でも駄作ですいませんっ!!!(平謝り)

なんか宝児素直で乙女で気持ち悪い(ひどい)

けど、SAIさま、いいのでしょうか???

しかし・・・貰ってください(強制か?!)

幸せなセンちゃんになれたかは疑問ですが・・(笑)

あ、ではリク内容は「センちゃんが幸せな緑青」でしたv

SAIさま、リク本当にありがとうございました!

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