策士、ジャスミン

 

 

 

「じゃあ二人ともおとなしく待ってるのよ?

できるならバラバラに別れたほうがいいわ。二人一緒に居たら正確にわかんないから。

じゃあテツはここに居て、バンはどっか遠くで隠れること。いいわね?」

ジャスミンに笑顔でそう言われ、バンとテツはこくん、と頷いた。

そしてジャスミンはそれにまたにっこりと笑ってホージーの元へと歩いていく。

二人はドキドキしながらそれを見送った。

 

 

事の起こりは数時間前。

原因はいまだ思い出せないが、デカルームでバンとテツが言い争いを始めた。

デカルームにはジャスミンとその二人しか居ないものの、

その大声は部屋に響き渡っていて、煩さにジャスミンは大きなため息をついた。

そしてその喧嘩の内容はだんだんおかしな方向へと向かっていく。

「バンさんなんか、ホージーさんにぜっっっんぜん相手にされないくせに!」

「なにい!お前こそ、年下だから相棒にはお子ちゃまに見られてるじゃねーか!」

「なんですって!俺は年下ですけどちゃんとホージーさんの信頼を得ていますよっ!!!」

「俺の方が付き合いが長いんだ!しかも相棒の相棒だぞ!!!」

「それは勝手にバンさんが言ってるだけでしょ!ホージーさんは俺の方がきっと好きですよ!!」

「何?!相棒が好きなのは俺だ!」

「何言ってるんですか!!!んな訳ないじゃないですかっ!俺です!!!」

「俺だ!」

「俺です!」

とうとう訳のわからない対決になった二人を、ジャスミンが笑顔で二人の間に入ってそれを止めた。

どことなくその笑顔は怒りが混じっていたので、二人もそれを察知してすぐに口を噤む。

そんな二人の頭を両手で押さえながら、ジャスミンはある提案をした。

「そんなに気になるんなら、本人に聞いてみればいいじゃない」

「「え?」」

 

 

と言う訳で、今二人はジャスミンが二人の代わりに本人に聞いてくるのを待つ身である。

と言っても、直球で聞いてもホージーは素直に答えないだろうから、とジャスミンが用意したもので

誰が一番好かれてるかを知ることができるらしい。

そのジャスミンが用意したものとは、3種類の未処理の書類。

1つ目は分厚い書類。

2つ目は中くらいの書類。

3つ目は薄い書類。

これの中のどれを渡すかで、愛情が決まるとジャスミンは言う。

分厚いのを渡されたら、それは時間のかかる大変な仕事になるだろう。

だからどうでもいい人にはその分厚いのを渡すはず。

そして薄いのを渡された人には、簡単に終わる楽な仕事を与えてあげたいという

ホージーの愛情がたっぷりこもっている、ということになる・・・らしい。

「でも・・・どうして3つなんだ?」

問うバンに、ジャスミンは簡単なことよ、と笑った。

「センちゃんも入れなきゃ、フェアじゃないでしょ?」

そういうものかと納得した二人に、

ジャスミンは二人が帰ってくるなり早速始めるわよと3つの書類を持ってにっこりと笑った。

 

 

ホージーとセン(とウメコ)がパトロールから帰ってきてすぐに、ジャスミンはホージーに声をかける。

「ねぇホージー、帰ってきてすぐに悪いんだけど・・・この書類を渡して欲しい人がいるの。まだ未処理なんだけど」

「・・・?自分では渡せないのか???」

「えぇ、ボスに頼まれたのはいいけれど、私今すぐに出かけなきゃいけない仕事があるのよ。

どの書類をどの人に渡すかはあなたの判断に任せるわ、やってくれないかしら?」

「別にいいが・・・3つだな?1人に1つってことか?」

「えぇ、そういうこと。じゃ、よろしくね」

そう言ってジャスミンはウメコを連れてどこかへ行ってしまった。

残されたホージーは少し疑問に思いながらも、その書類を見る。

分厚いのと、普通のと、薄いの。

そして渡すのは誰でもいいときてる。

思わずホージーは目の前に居る仲間を見る。

が、ウメコはジャスミンが連れて行ってしまったので必然的に残されたのは

バン、テツ、そしてセンの3人。

よし、とホージーは決意を決めたように歩き出した。

真っ先に向かったのはテツの所。

「おい、テツ」

「はい、なんでしょうか、ホージーさん」

嬉しそうに返答するテツに、ホージーは書類を取り出す。

「これ、お願いしたいんだそうだ。まだ未処理だから大変だろうけど大丈夫か?」

「え、えぇ・・・これ、ですか・・・」

「なんだ?」

「い、いえ。頑張ります」

「そうか?じゃな」

渡された書類を見て何故かがっくりと項垂れるテツに、

ホージーは不思議そうな顔をしながらもその場を立ち去った。

テツに渡されたのは中くらいの書類。

「どうでもいいってことだよ!」

と、ホージーに見つからないように陰に隠れながらも、

そう嬉々として言ってくるバンを、テツは恨めしそうに睨みながら言った。

「フン、バンさんのが一番分厚いのに決まってますよっ!」

 

 

しばらくして、やっと隠れていたバンを見つけたホージーは、バンを呼び止めた。

「バン、探したんだぞ」

「おお相棒!俺を探してくれてたんなんて嬉しいぜ!」

「馬鹿、寄るな。お前に頼みたいことがあるんだ」

「何何〜?」

「これ、この書類、やれるか?」

バンに手渡された書類。

それは・・・・。

「あ、いぼ〜!!!これでいいのか????」

「あ?あぁ・・何だ?嫌なのか?」

「やった〜!!サンキュー、相棒!相棒の愛、しかと受け取ったぜ!!!」

仕事を貰ったのにも係わらず何故か嬉しそうに、跳ねながら喜ぶバンに

ホージーは首をかしげながらそこから逃げるように立ち去った。

「見たか、テツ!!!俺の書類が一番薄いんだぜ〜!!!!!!」

「え、そ・・・そんなはずは・・・」

「見ろよ、ほら!じゃあ一番厚いのはセンちゃんにってことか・・・!

やっぱり俺が一番好きだったのか〜vvv愛を感じるぜ!」

「ちょ、ちょっと待ってください・・・ほらあれ、あれ見てください」

テツが指差したのはセンの居る方向。

そこに向かってホージーがゆっくりと歩いていって、分厚い書類を手渡した。

「セン・・・これ、仕事なんだってさ」

「ん?随分厚い書類だね〜」

「あ、あぁ。ほんとはな、薄いのと普通のもあったんだ」

「で、俺にはコレ?ホージーくんは俺にそんなにお仕事させたいのかな?」

意地悪な笑みを浮かべるセンに、ホージーは慌てて首を横に振る。

「いいか?よく考えてみろ。あの馬鹿・・いや、バンにこんな分厚い書類任せたら

あいつパニックになって何年かかるかわかんないだろ?

それにテツ。入ったばっかりのテツにこんな分厚い書類任せるなんてできない。

だから、お前に・・いや・・・・・お前と、な」

「俺と・・・?」

「さっきパトロールの途中に、美味しいケーキと紅茶を見つけて買ってきたんだ。

だからそれ食べながらでも・・・・・一緒にゆっくりしようかと思って。

二人ですれば早く終わるし・・・それに」

「え?」

「仕事だけど、二人っきりで居られるなんて、たまにはいいと思わないか?」

「二人で、ね・・。嬉しいよ、ホージー・・じゃなくて・・・・・宝児」

「・・・会議室ならクーラー効いてるしあそこでしないか?・・・ゆっくりと」

「宝児・・ほんとに可愛いんだから」

「も・・・煩い・・・・」

照れて真っ赤になったホージーを、センは愛しそうに見つめながら二人は会議室へと消えていった。

残されたのは暗い顔で項垂れている約二人。

「こういうオチか・・・・・・・・」

「人生そううまくはいかないってことですね・・・・・」

「しかも・・この書類ほんとにおわさなきゃいけないんじゃ・・・」

「・・・地球後で端的に言うと・・・・・・踏んだりけったり?」

「・・・ピンポ〜ン・・・・・・・・・・」

 

そしてデカベースの外では・・・。

「あれ?ジャスミン、書類いっぱい溜まってるって言ってなかった?」

「あぁ、あれはもう終わったわv・・・恋に悩む男たちのお役にたって、書類も大満足でしょうし?」

「?」

大きなパフェを笑顔で頬張る、策士ジャスミンの姿があった。

 

男たちがはめられた事に気づくのは、いつになるのか・・・。

今日も地球・・署は平和だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

楽しく書けました〜v

いかがでしたでしょ?

ちょっと「おまけの小林●ん」でそういう感じの見かけて、使ってみました(汗)最後はもちろん違うけど。

ジャスミン大人気と言うことであやかってたくさん出してみました。(笑)

そして得したのもジャスミンv

拍手に置こうと思ってますが・・・一言感想いただけるとすごくこっちが大拍手します(笑)

ずうずうしい!では〜♪

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送