「幸人さん、好きです」
それは呪文のように繰り返される言葉。凌駕は毎日幸人にそう囁く。けど
「幸人さん、俺のこと好きですか?」
そう問われればつい口ごもってしまう。

確かに凌駕を思う気持ちはあるけれど、それを言葉にする事がどうしてもできなかった。
「幸人さん、好きって言ってください」
哀願するようなまっすぐな瞳に見つめられると、幸人は息ができなくなり顔をそらしてしまう。
「幸人さん、俺が間違ってたんですか?

俺一人、幸人さんも俺のことが好きだと勘違いして浮かれてただけなんですか?」
違う、と言おうとして顔を上げたが凌駕は怒ったように部屋を出て行ってしまった。
「凌駕
あんな顔をさせるつもりなんてなかった。

ただこの気持ちを上手く表せる言葉が見つからなかっただけ。

そこまで凌駕をおいこんでしまったことに幸人は自分自身を責めた。

そして幸人は決意を固めた。

凌駕に好きだって言ってやろう。誰よりも好きだと。

決闘に挑むような気持ちで、幸人は立ち上がった。


幸人が凌駕の後を追って行けば凌駕は恐竜やのキッチンにいた。

ちら、とこっちを見てにこりともせずすぐ視線を外す凌駕に、

幸人は胸がズキン、と痛むのを感じた。

本気で怒ってる・・・?

このままじゃ嫌だ幸人は息を一つ吸い込んで覚悟を決めると

凌駕に向かって大股で歩いていった。
アスカや他の連中が不思議そうな顔で幸人に注目するが幸人はそれすら目に入らない。
「凌駕!」
険しい顔で叫び凌駕にこっちを向かせる。

いつもとはうって変わった冷たい表情。

それでも幸人は勇気を振り絞ってまっすぐ凌駕を見た。
「俺は!その!何と言うかスキ……
あとはだ、を言えばいい。そう思い口を開いたときぴょこ、と凌駕はの後ろから舞が顔を出した。
「ゆきちゃん、スキなの?りょうちゃんの事。」
「え、まさか!スキヤキが食べたいって言おうとしただけだ。

誰がこいつなんか・・・」
そう言いかけてハっと気づき凌駕の顔を見れば、

大きなため息をつきながら背を向けてどこかへ行ってしまった。

しかたない、次にしよう・・・、と幸人はあきらめてキッチンを出た。


次のチャンスはすぐに訪れた。凌駕は一人でテレビを見ている。

幸人は座敷に上がり、また大きな声で叫んだ。
「凌駕!」
ゆっくりと凌駕が振り向く。

今度こそ、言ってやる!

「俺は!本当に大ス・・・・」

「ダイス?サイコロのこと?三条さん」

「・・・・・・・・そうだ」

そうだ、じゃない!!!

後ろから声をかけたその声の主はらんるだった。

なんてタイミングの悪い・・・。

「何に使うの?ここにあるけど」

「・・・いい」

やる気をそがれた幸人は、珍しく親切ならんるを残し幸人は座敷から出た。

 

よし、もういっそのこと『愛してる』って言おう。

ちょっとプライドが泣いてるけど、凌駕とこのままなんて気まずいし

何より・・・寂しい。

いつも笑顔の凌駕にあんな冷たい顔をさせてしまった自分に責任も感じる。

三度目の正直、絶対そう伝えよう。

ん?凌駕は・・・どこだ?

あれ?いない・・・。

仕方が無いから椅子に座ってぼけ〜っとしているアスカに、声をかけてみる。

「おい、凌駕の奴、見なかったか?」

「え?・・・見てませんね。どこいったんでしょう?」

「わからないから聞いてるんだ」

「はぁ・・・すいません・・・・・」

落ち込むアスカをよそに、幸人はいいアイディアを思いついた。

「お前、俺に少し付きあってくれないか?」

いつになく優しい物言いに、アスカは笑顔ではい!と答えた。

「ただ、俺のいうことを聞いているだけでいいんだ」

「聞くだけ?」

そう、幸人はアスカを凌駕にみたてて告白の練習しようと思ったのだ。

「そうだ、聞いてるだけでいいんだ。いくぞ?」

「はい・・・?」

「好きだ」

「は?!」

「本当に大好きだ」

「えぇっ?!」

「世界で一番愛してる」

「なんですって?!・・あ、凌駕さん!聞いてください!

幸人さんがおかしくなっちゃいました〜!!!」

・・・・・・・・・何?

凌駕だと?!

幸人が振り向くとそこには笑うどころか眉にしわをよせて

腕組をして立っている凌駕の姿があった。

「凌駕!」

「・・・そういうことだったんですか」

「違う!凌駕!聞いてくれ!!!」

「・・・アスカさん、幸人さん借りてきます」

「?・・・はい」

そう言うと凌駕は強い力で幸人の腕を掴むと

恐竜やの奥へと後ろも見ずにどんどん歩いていく。

「凌駕!!!痛い・・・っ!」

幸人の制止の声も聞かず、凌駕は早足で歩き続ける。

そして、行き止まりの壁に突き当たったとき、

凌駕は急に掴んでいた腕ごと幸人を自分の方を向かせて壁に貼り付ける。

荒く呼吸をする幸人を凌駕は冷えた視線で見下ろしながら、

幸人の両腕を幸人の背中に回して片手で掴み肩を強く壁に押し付けた。

これじゃ、動けない・・・。

幸人は目の前にいる男が凌駕だということを忘れるくらいの恐怖を感じた。

おびえている幸人にかまわず、凌駕は幸人のジャケットをはだけさせた。

そして中に着ていたインナーをたくし上げる。

「凌駕・・・っ!」

幸人の上半身は凌駕の前にさらけだされ、幸人は羞恥でいっぱいになる。

それでも凌駕は機械的な行動で目の前にさらけ出された幸人の肌を片手で嬲る。

首に強く吸い付かれ、幸人は理性とは裏腹に反応してしまう。

「う・・っ、やめろ、凌駕!」

抵抗しようにも力じゃかなわない。

どんどん激しくなる指の動きに、幸人は泣きたい気持ちにすらなった。

凌駕の唇が胸の突起に吸いつくと体が勝手にビクン、 と跳ねた。

「嫌だ凌駕……っ!」

しかし幸人の言葉はまったく聞き入れてもらえず、

幸人はただ凌駕のされるがままになるしかなかった。

しばらくして急に凌駕が顔を上げて幸人を見上げて口をひらいた。

「幸人さん、・・・スキです。大好きです。」

泣きそうな顔で凌駕は何回もそう言った。

「乱暴なことしてごめんなさい。

こうでもすれば嘘でも好きって言ってもらえるかと思ったんです・・・。

バカですよね・・・・・・。

でも幸人さんが幸せになれるなら、俺は俺は……あなたをあきらめ・・・・て」

そこから先は声になってなかった。

幸人の胸に頭を預けてうつむく凌駕に、

幸人は自分がどれだけ想われてるかをあらためて感じた。

それと同時に自分の中の凌駕に対する気持ちもはっきりと姿を現した。

俺はこいつがやっぱり好きだ

そして幸人は凌駕に向かって大声で叫んだ。

「バカ!こんなことして確かめなくても俺はちゃんとおまえが好きだ!!!

この気持ちは嘘じゃない!」

それを聞いた凌駕はガバっと顔を上げて驚いた顔で幸人を見た。

「ただお前にちゃんと伝えなかった事は謝る。

だか、俺は気持ちを言葉にすることが苦手で上手く言えなかった。だから…………

言葉がもどかしい。

幸人は押さえられてる体を精一杯背伸びして凌駕に優しい口づけをした。

とろけるような、甘い甘いキスを。

そして少し顔を逸らして怒ったような声で言った。

「このキスで俺がどんなにお前を……好きかってことが伝わる・・・ハズだ」

幸人のその行為に、凌駕は目を大きくして

僅かに赤くなりながらそのまま固まっている。

「おい・・・?凌駕?」

「反則です・・・幸人さん」

そう呟いた凌駕は、掴んでいた腕を放して幸人の顔に両手を添え、

噛み付くような、しかしとても優しいキスをした。

「ん・・・っ、りょ・・・」

「幸人・・・・さん・・・」

息が出来なくて、幸人はキスのわずかな合間に空気を吸い込む。

そのたびに角度を変えて深く、深く凌駕が押し入ってくる。

余りの苦しさに頭がぼんやりしてきた頃、

やっと幸人の唇は解放された。

「はぁ・・・殺す気か・・・」

「ごめんなさい・・・あまりにも嬉しすぎて・・・。

大好きです、幸人さん」

「あぁ・・・俺も・・・お前を・・・あい・・・」

「・・・あい?」

「あい・・・・・」

「あい?」

「アイスクリーム・・・食べるか、凌駕」

「・・・ぷっ!

さっきのスキヤキといダイスといい・・・あはははは!

ゆ、幸人さんっ!可愛い〜!!!」

「笑うな〜!!!」

「でもなんかちょっと寂しかったんですよ〜?

いつまでも言ってくれないし。

俺だっていつまでも幸人さん無視するの、めちゃんこ辛かったんですよ?

おまけにアスカさんに愛の告白しちゃうしさぁ〜」

「・・・・・あれは・・・っ!」

「わかってますよ、練習でしょ?

でも何でアスカさん相手だとあんなにすらすら言えるのに

俺相手だと言ってくれないんですか?」

「それは・・・お前が一番わかってるだろう・・・!」

「・・・・わかんないです。ちゃんと言ってくれなきゃ」

「・・・・それは、つまり・・・」

「俺のことが?」

「・・・お前の、ことが・・・」

「世界で一番?」

「・・・世界で、一番・・・」

「ス・・・・?」

「・・・・・キ」

「始めから、ちゃんと聞かせて?」

「・・・お前のことが、世界で一番、す・・・」

 

「す、スキー、・・・一緒にいくか、凌駕」

 

 

「・・は、・・・・・・はい・・・・・・・・」

かなり期待はずれだったけど

でも幸人さんと一緒にスキー行くのは、少し楽しいかもしれない。

凌駕は限りなく恥ずかしがりやの恋人を、力いっぱい抱きしめて言った。

 

「俺も、この世の誰より幸人さんを・・・スキーに誘いたいです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コメント>

最後の凌駕の言葉に超迷う。

だから、変。

幸人もキャラ違う気がする。

凌駕が怖いし。

アスカは被害者だし。

ダイス、は無理がありました。

ま、キスが書けたので、・・・よしいくぞう?

 

はい、終了。()

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