「な、何やってるの・・・?あんた達・・・」
波児から『面白いものがあるぞ』という連絡をもらって、散歩がてらにホンキートンクに来てみた卑弥呼は、店に入るなり驚きの声をあげた。
「うるせ!こっち見るな!」
「蛮ちゃん、そんな言い方ないよ!あのね、卑弥呼ちゃん。実は・・・」
「銀次!余計な事言うな」
「でも・・・」
「ちょっと、ほんとにどうしたのよ。その手・・・」
「言うな!ったく・・・うるせーよ!!!」
「蛮ちゃん!何でそんなに機嫌が悪いのさ!」
「こんな状態だからだ!ったく胸クソ悪ぃ・・・」
「だから!何でそんな状態なのかを聞いてるのよ!」
「それが・・・話せば長くなることなんだけど・・・。
蛮ちゃん、別に話したっていいでしょ?ほら、何とかしてくれるかもしれないし」
「・・・ちっ」
蛮のその行動を許可の合図と受け取って銀次は少しずつ話し始めた。
さかのぼる事5時間前・・・
簡単な依頼を意外と早く終わらしたGBの二人は、昼ごはんを食べるため小さなデパートに立ち寄った。
「今日の依頼は楽勝だったね、蛮ちゃん♪」
「そうだな。ま、俺様にかかればどんな依頼だって楽勝よ!」
「さっすが蛮ちゃん!」
「ぬははは!」
蛮と銀次は簡単な依頼にもかかわらず、
意外に多い奪還料を貰えた事で機嫌を良くしていたので、
そこでいつもよりは少し奮発してそれぞれの好きなものを買った。
「みて!これ〜ずっと食べたかったんだvvv」
「お前食いモンばっかり買うなよ〜?お、銀次これ欲しがってたろ?」
「あ!そうそうっ!これも買お〜vvv」
二人は持ちきれないほどの荷物を抱えてデパートを出た・・・が。
そこで幸せから不幸のどん底に落とされるような光景を見た。
「て、てんとう虫くんが・・・」
「・・・・・ない」
「なんで〜!!!!?」
「わかんねぇよ!!!」
「どこいったの〜!!!」
「鍵はかけたし、ここは駐禁じゃない・・・」
「駐禁だよ蛮ちゃあん〜!!!レッカーされちゃった!!!」
「なにぃ?!」
「だいたいなんでここに止めるのさ!どうみても道路じゃん!」
「しょうがないじゃねぇか!駐車場の代金高かったんだから!」
「またそこを削る・・・っていうか蛮ちゃん!
てんとう虫くん新宿にレッカーされたみたい・・・・。」
「な、なに・・・?!ここは横浜だぞ?」
「・・・歩く?タクシー?バス?」
「・・・・・・・電車だ」
というわけで、二人は電車に乗ることになった。
もちろん、駅までは徒歩だ。
最悪の気分で二人は何とか駅にたどりついて切符を買ってホームへでた。
「げ!銀次!!!急げ、出るぞ!」
「まってよぉ〜蛮ちゃん!」
ぎりぎりで乗り込んだ電車は、夕方ということもあってとても混み合っていた。
「うぅ・・・きつい」
「うるせ〜、ぶつぶつ言うんじゃねぇ・・・」
「う!電車って、こんなに、痛っ!つらいん、だね。
でも、こんな堂々と人前で蛮ちゃんにくっついてられるなんて・・・
へへ、ちょっとは楽しいかもv」
「銀次・・・」
二人が少し見つめあって軽く笑った時だった。突然銀次の体だけが軽く跳ねた。
「ひゃ!」
「?どうした?銀次」
「い、いや・・・なんでも・・・んっ」
「なんだ?何かお前、変だぞ・・・」
「・・・だい・・・じょぶ・・っっ!」
「まさか・・・お前!」
そう言って蛮は銀次の周りを見回した。
すると、銀次の腰の下辺りで不自然な動きをする誰かの手が見えて、
蛮はすかさずその手を取った。
「何やってんだ、オッサン。人の連れによォ・・・」
「な、何だね!き、きみは。私は何もしてないぞ!潔白だ!」
二人のやり取りに他の乗客が気づいて三人を見ている。
それにもかまわず蛮は握った手を離すことなく、その男を睨みつけた。
「オイ、俺は見たんだよ。あんたの手がこいつのケツを・・・」
「蛮ちゃん!もういいから、ね?」
「そ、そいつ男じゃないか!
わ、わたしが可愛くもない男のお、お尻なんて触るはずないだろう!」
「何?」
「だ、だから、わたしは色気のひとつも無い男の尻など触らない!」
「なんだとぉ〜!!!!
銀次のどこが可愛くねぇんだ!色気だってたっぷりあるじゃねぇか!」
「・・・へ?」
「こっんなに可愛い銀次のどこが不満だぁ?!言ってみろ!」
「蛮ちゃん!何言ってるの〜!」
「いやあんた一体・・・」
そこで電車は新宿駅に着いたが、蛮はその男の手を離さずに駅のホームまで連れ出した。
「おい!放せ!私はここじゃ降りないんだ!」
「誰が離すか!!!お前はゆるさねぇぞ!」
「ばんちゃ〜ん!もういいから!」
3人がそのままごたごたしていると、向こうから誰かが走ってくるのが見えた。
「おい!そこで何やってる?!」
「お、いいところに来た。警備員さん〜!こいつが・・・」
「・・君、ちょっと来てもらおうか?」
「は?なんで俺なんだよ!」
「けいじさん、違うんです。この人が俺の・・お尻を!蛮ちゃんは悪くないんです」
「ははは、何を言ってるんだね。どう見てもこいつが
この人を脅してるじゃないか。仲間をかばおうったってそうはいかないぞ。
第一男の尻なんて撫でる奴は・・・」
「いたんだよ!こいつが・・・!!!」
蛮がそう叫んで警備員につかみかかろうとした瞬間、
その警備員はその蛮の手を掴んで手錠をかけた。
「あぁ?!」
「公務執行妨害だ!ついてこい!」
「蛮ちゃん!!!やめてください!違うんです!」
「何だ?お前も邪魔するのか?!」
「え?!」
銀次が激しく警備員に抗議したので、
驚いた警備員は今度は蛮のつけている手錠の反対側を銀次にかけた。
「うわ〜!俺まで!蛮ちゃん!!!」
「くそっ!こうなったら・・・」
蛮は仕方なくサングラスを外してお得意の邪眼で警備員が幻影を見ている間に
すばやくその場から逃げだした。
「蛮ちゃん!大丈夫?」
「お前こそ!・・・ちっ、ちゃんと走れ!」
二人は程よく遠くまで逃げおおせてその場に座り込んだ。
「はぁ、はぁ・・・やったね!蛮ちゃん、うまく逃げれて」
「馬鹿!のんきなこと言ってんじゃねぇ!
なんでこの俺様がこんな目にあわなきゃならないんだよ・・・・」
「それにしても蛮ちゃん、この手錠・・・・・どうする?」
「どうするもこうするも・・・・・・・」
「「・・・どうしよう」」
<続く>
<コメント>
長いので続きます。
ごめんね、変なトコできって。
頑張って続き、書くからね!!!
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