この手がいけない。

我侭な、この手が。

 

 

 

 

 

 

我侭な手

 

 

 

 

つん。

「ん?」

振り返ってみても、見えるのは誰かさんの背中だけ。

でも確かになんか感じたんだけど。気のせいかな?

 

 

今俺の部屋では宝児と俺が思い思いの行動をしている。

俺はベッドの上でTVを見ているし、宝児は俺のすぐ傍で事件の報告書を読んでいた。

けれどその間に先ほどから会話は無い。

といっても別に喧嘩をしたわけでもなく、なんとなくそんな感じになっただけ。

そんな折だった。

背中に何かの感触を感じたのは。

 

 

まぁいいかと思い直し、またTVに目をやる。

すると。

 

つん。

 

ビク、と思わず体を震わした。

また。

まただ。

しかし振り返ってもやっぱり宝児は俺に背中を向けているし。

気にも留めないようなフリをして、またTVを見ると。

 

つん。

 

 

つん。

 

 

 

つん。

 

 

 

 

がし。

 

背中に伸びてきた手をがっしりと掴むと、

驚いた、そしてバツの悪そうな顔の宝児と目が合った。

「何?」

いや別に、そう言う宝児の顔を覗き込んでもう一度

「何?」

そう問うと、宝児は思いっきり顔を逸らしてしまった。

 

 

うん、わかってるんだけど。

この可愛い恋人は甘えたい時とか構って欲しい時とか

素直に表せないことを。

 

そしてそれをわかりにくい表現で俺に示すから。

俺はそれに気づくのが大変なんだよ。

しかもそれに気づいているって事を宝児は知られたくない。

だから知らないフリをしながら、うまく宝児のペースに乗ってあげなきゃいけない。

凄く、難しいだろ?

 

さて、どうする?

俺、もだけど・・・宝児も。

これからどう出る?・・・・・・宝児。

 

 

そう思って手を握ったまま無言で宝児を見つめていると

宝児は少し赤い顔で、小さく呟いた。

「手、が」

「・・・手?」

「手が勝手に動いたんだ」

・・・・・・・・・・・へ?

そうきたか。

 

「俺の手が、我侭なんだ」

「ワガママ・・・?」

「俺じゃない。俺は触りたいなんて思ってないのに、勝手に動くんだ」

「手が?」

「そう、我侭な手なんだ」

そう言われて、思わず握ったままの宝児の手を見る。

細く、長い指。

その手を口の高さにもってきて、宝児の顔を上目遣いに見やった。

そして昔話のお姫様にキスをする騎士のように、恭しく宝児の手にキスを落とした。

「それは・・・困った手だね」

「――――っ」

一瞬驚いて手を引きかけた宝児の手を、更に強く握り締めて

今度は人差し指をねっとりと舐めた。

ビク、と体を震わした宝児の反応に口の端を緩めながら

今度は中指。

熱い感触に宝児が顔を顰めて、「セン」と熱っぽく言うのも気にせず。

今度は、薬指、そして薬指。

舌を這わせ、指の股までもきちんと舐めてやる。

親指を口に含み舌で転がせば宝児が、う、と唸った。

いつもするように、あの行為を思い出させるような動き。

そして手の平は念入りに。

なんか甘い味がするのは、宝児隠れてなんか食べたの?

そうして、やっと宝児の顔を見つめる。

「どう?満足した?君の手、は」

「・・・・・!」

宝児の顔はもう既に真っ赤で。

可愛いなぁ〜なんて思っても口に出すと怒るから言わないけど。

 

「我侭なのは、手だけ?」

そう言うと、首をゆっくりと横に振る宝児。

「君も、触りたくて仕方ないって、思ってくれてる?」

今度は、首を縦に振った。

そんな宝児の顎を捉えて。

目をじっと見れば、宝児は目を逸らさずに俺を熱っぽく見た。

 

そして

 

「手だけなんて、ずるい」

 

そんな殺人的に可愛い一言を俺にくれた。

 

じゃあ我侭な宝児くんが満足するまで愛してあげなきゃね。

そう呟いて、宝児にキスを。

もっと、もっととうわ言のように言う宝児の、我侭な体全部にキスを。

 

 

「君はもっと我侭になってもいいと思うよ?」

そうキスを落としながら言う俺に。

「もう十分、我侭だ。お前が欲しくて欲しくて堪らないんだから」

真っ赤な顔で宝児がそう優しく笑った。

 

 

可愛い言葉に、俺の中の我侭な気持ちにも火が、つく。

 

「俺も、もっと宝児が欲しくて仕方ない」

我侭な俺は、噛み付くように宝児の薄く色づいた首筋に吸い付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<あとがき>

えー何が書きたかったんでしょうか?

あのですね、説明すると・・あるサイトさんのとこで見つけた

「我侭な手」という題名を見て、思いついたんですよ。

いや、内容はほんっとにぱくってないんです!信じてー!

つか内容全く違いますね、書く人によってこんなにもちがくなるんだ・・。

ただその題名だけを借りたんですー、いい題名ですよね。

ま、そういうことなんですけど・・例にもよってへぼくてごめんなさい。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送