「ドライブ、しませんか?」
ある晴れた日、伯亜凌駕は幸人をドライブへと誘った。答えはもちろん
「行かない」
だったのだが。
「え〜!行きましょうよ!こんなに天気がいいのに、どこにも行かないなんてもったいないです!」
熱説する凌駕に、幸人はうんざりした顔をしてその場から立ち去ろうとした。

そんな幸人に凌駕は慌てて、幸人の背中に声をかけた。
「それに!この前のネズミの件のお礼もらってないですよ!

お礼だと思って付き合ってくれたっていいじゃないんですか?」
ネズミの件とは、先日幸人が巻き起こした大?騒動で、おもに被害をうけたのは凌駕だった。
そう言えば、まともにお礼の一つも返してなかったということに思い当たって、幸人は心底嫌そうに、
行く」
とだけ短く答えた。

空は青空。
幸人の運転する車に太陽がキラキラ反射して光を放つ。
「たまには、こういうのもいいでしょ?」
そう言ってにっこり笑う凌駕に、幸人はたまにはな、と小さく笑んで返事を返した。

正直、店の中ですることもなく一人閉じこもっているよりは

こうやって二人でくだらない話をしながら外の空気を満喫する方が楽しい。
商店街にさしかかったところで幸人は行きたいとこあるか?と尋ねる。すかさず凌駕は満面の笑みで答えた。
「もうすぐお昼だし、ご飯にしませんか?」
ちょうどお腹もすいていたので幸人もそれに同意し、近くにあったファーストフード店に立ち寄った。
二人で向かい合って座って、たわいない話をしながら食をすすめていく。

最近誰かと外食なんてしなかったためか、幸人は少しだけこの時間を心地よく感じはじめていた。
そんな折りだった、二人の席の近くに大勢の女子高校生が座ってじろじろと二人をなめまわすように見ている。

幸人も凌駕もそれに不快感を感じ、急いで席をたとうとした。

しかし、幸人が立ち上がったその時、後ろから甲高い声がかけられた。
「ねぇお兄さん、かっこいいね〜!私たちと、軽くどう?」
幸人が振り向くと、茶髪の濃いメークをした制服姿の女の子が立っていた。
「悪いが、忙しいんだ」

幸人はそう言ってその場から離れようとしたがそれは出来なかった。
その女子高校生の何人かが幸人の腕を強くつかんだからだ。
無理に腕をひきぬくのもどうかと思うし、だからと言ってこのままにしておけるハズもない。
幸人が怒鳴りつけてでも離してもらうしかない、と考えたその時。

幸人の後ろから手が伸びてやんわりと幸人の手を掴んだ。

普通この場合掴むべきなのはこの高校生の手じゃないのか、と幸人は思ったが

そんな幸人には気づかずに凌駕はいつもの笑顔を満開にして言った。

「ダメですよ~?君たち。この人は今俺とデート中なんだからv邪魔しないでくれる?」

凌駕がそう言った途端に高校生達は一気に手を離して珍獣でも見るかのような顔をした。

そして凌駕と幸人を交互に見て、いきなりきゃ〜!ホモ!!!と叫びながら逃げていった。

「・・・・・・あんな方法しかなかったのか・・・・・・・・」

「あれが一番簡単でしょ?」

ため息をつく幸人に手を握ったまま凌駕はまた笑った。

 

なんとなくその店に居ずらくて逃げるように店を出た二人は、再び行く当ての無いドライブを始めた。

もう日は落ちて夕日が遠くに見える。

「幸人さん、俺行きたいトコあるんですけど」

突然の提案に幸人は、どこだ?と尋ねた。

「いつも舞ちゃんを送るときに通る道なんです。

夕方は夕日がとても綺麗な一本道です。」

夕日か・・・、最近見てなかったからいいかもな。

幸人は一人納得して凌駕のナビでそこへ向かった。

 

「ここです、ほら。夕日に向かって走ってるみたいでしょ?」

確かに、その道は何にも無い細い直線で真っ直ぐ夕日に向かって伸びてるように見えた。

道の先はゆるいアーム型になってるため見えなくて、ただ夕日だけがある。

「・・・いい場所だな、こんな場所が近くにあったなんて・・・・・」

「そうでしょ?この先ずっといくと舞ちゃんの幼稚園があるんです。

いつも舞ちゃんを送るとき幸人さんといつか来たいな、って思ってたんです。」

「・・・それじゃこれで満足したか?」

「どうせだから道を通って帰りましょうよ。ホントはエミポンにお迎え頼んだんだけど、

俺たちで舞ちゃんを迎えに行ってもいいし。エミポンには連絡入れれば大丈夫でしょ?」

「ま、いいだろう。道を通って幼稚園に寄り舞を拾ってそのまま帰ったらちょうどの時間だしな」

そう言って幸人は車を発進させた。

 

「綺麗ですね、夕日」

「あぁ、なんかお前の・・・」

笑顔みたいだ、といいかけてやめた。

そんなこと言ったらどこかのキザなくどき文句のよう。

「なんですか?」

「・・・いいや、別に」

そのまま会話は途切れて、二人は黙って目の前の夕日を見つめていた。

お互いそれぞれの思いを抱きながら。

ふいに、凌駕が口を開いた。

「幸人さん・・・」

「・・・・・ん?」

「俺、もっとお礼欲しいです」

「何・・・?」

運転している幸人は凌駕の顔を見れずに次の言葉を待った。

しかし、凌駕の言葉の代わりに太ももあたりに変な感触を感じた。

「・・・何してる?」

「お礼、ください・・・」

いつもより数段低い声でそう言いながら凌駕は太ももを撫で続ける。

「幸人さん・・・細い」

「・・・っお前、やめろ」

その手が脇腹、お腹へと上がってきて、幸人は抵抗の言葉を叫ぶ。

しかし、凌駕は幸人の体を這う手を止めることは無い。

「ここ、感じますか?」

その手が幸人の首筋まで届き、その手のある場所へ凌駕は口づけた。

「凌駕・・・っ!危ない!」

「そうです、危ないですよ。だからちゃんと運転しててくださいね、幸人さん?」

耳の側でそう囁かれ背中から腰にかけてぞくぞくと何かが走る。

凌駕はそんな幸人の反応を楽しむかのように今度は耳の中に舌を入れてきた。

「・・・っ!!!」

「耳、弱いんですね・・・、可愛い・・・・・」

唇を耳につけたまま話すものだから、耳と唇が擦れあって今度ははっきりとした快感が幸人を襲った。

やばい、これ以上は・・・!

そう幸人が思った瞬間、目の前に広い道路が現れたので幸人は思い切りハンドルを右に切って止まった。

「わっ!!!危ないですよ幸人さん!」

「お前が妙な事するからだろうが!!!バカ!!!!」

「ひどいです〜・・・でも、・・・まだ肝心の大きなお礼をもらってないんだけどなぁ?」

「まだ言うか!!!」

「幸人さん、お礼はコレ・・・下さい」

凌駕は人指し指を立てて幸人の唇を触った。

「お前!!!・・・んっ」

何か言おうと口を開いた幸人の口にすかさず凌駕の指が入る。

「開けたままにしといて下さい、幸人さん」

そう言って凌駕は顔を近づけた。

「ごめんなさい・・・もう、止まらないです」

真剣な顔の凌駕にもう抵抗する気力も無く、幸人はおとなしくされるがままになった。

唇に吐息がかかって、幸人はそっと目を閉じた。

 

「あれ〜?りょうちゃん、ゆきちゃん、こんなトコでなにしてるの〜?」

 

二人は一斉に声のほうへ振り向いた。

そこには見慣れた、凌駕の姪の舞の姿があった。

「舞ちゃん・・・?」

「何でココに・・・・?」

青ざめた顔の二人に自慢顔で舞は言った。

「だって、ココ舞の幼稚園だもん!

りょうちゃん、迎えにきてくれたの?」

そう言われて見回せば、不審顔の保母さんや幼児が車の中を覗いている。

夢中で運転してる間に、いつの間にか舞の幼稚園についていたらしい。

「・・・・・・りょおがぁ〜!!!!!!」

「・・・・・・ごめんなさ〜い!!!!!」

「二人とも、仲良しだね〜v」

舞ののんきな笑顔が、今の二人には何よりもつらかった。

「もう二度と!お前と!ドライブなんか来ないからな!!!!!」

拳を作り顔を赤くして怒りに震える幸人に、凌駕はまるで夕日みたいな顔の色だな、と思って少し笑った。

 

もちろん、そのすぐ後に凌駕の頭には大きなタンコブが1つ顔を出すことになるのだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<コメント>

ドライブ。

この二人が?

考えられない。

うっそ!

ってな感じ。

キスすらできてません。

これで赤青と言えるのか、いや言えない。

次はちゅ〜だ!

ま、次はいつになることやら・・・()

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